床暖房のメリット・デメリット。本当に必要なのか?考えてみた

床暖房のメリット・デメリット。本当に必要なのか?考えてみた

「家を建てよう」「注文住宅を建築しよう」と思ったとき、近場の住宅総合展示場や大手ハウスメーカーのショールーム、モデルハウスに行く機会があるかと思います。

そういったときに「冬の寒さには『床暖房がおすすめです』」と言われることがないでしょうか?

大手ハウスメーカーのかなりの割合が床暖房を勧めてきます

じゃあ、実際のところ、床暖房はいいのでしょうか?メリットやデメリットを解説し、また、大手ハウスメーカーや地域工務店などの住宅会社がなぜ床暖房を勧めてくるのかの理由について解説していきたいと考えています

竹内正浩(編集長)
今回は床暖房のメリット、デメリット、「住宅会社がなぜ、床暖房を推奨するか?」について解説していきたいと思います。

床暖房とは、そもそも何か?


まず、床暖房とは何かと申しますと、ご存知の通り床を暖めるタイプの暖房のことですね。

床自体の下に電気ヒーターや温水を流すものを設置することにより、フローリングの下自体を温め、床が温まることによって快適に過ごせるというのが床暖房システムです。

床暖房のメリットは「冬の快適さ」


床暖房のメリットは何かと申しますと、「冬の快適さ」ただ一点に尽きるかと思います。冷え性だったら最高の仕組みだと思います。

床そのものが暖かくなるので、直接肌に触れるところが暖かく、あたたかい熱が伝導されます。あとは、暖かい物体があるので、輻射熱という形で暖かくなります。

壁も天井も暖かくなるので、快適です。エアコンみたいに風で温める訳ではないのでホコリもたちませんし、風がずっと当たっていることもありません。

暖かい空気は上のほうに上がってしまうので、どうしても頭のほうが暖かくなってしまいますが、床暖房だったら足元が暖かい状態なので比較的快適に過ごせます。

あとは心地良く、静かで掃除が楽です。

実際、エアコンだったらホコリが溜まりますから、フィルターやエアコンそのものをきれいにしないといけないなどいろいろありますが、床暖房なら床暖房そのものをきれいにする必要はないので、床の掃除だけで済み、比較的掃除も楽で静かですし、心地良いという感じですね。

あとは頭寒足熱というフレーズを聞いたことがあると思いますが、先ほど申し上げたように暖かい空気は上に行くわけではないので、足元が暖かくて、頭は比較的暖かい状態ではなく、頭がぼーっとしないかと思います。純粋に床暖房のメリットは何かといったら、生活が快適で冬に暖かく過ごせるということが最大のメリットかと思います。

床暖房にはいくつかの大きなデメリットがある


その一方で、床暖房には結構いろいろなデメリットがございます。

具体的に申し上げていくと、設置費用が高い、床暖房プラス無垢フローリングが厳しい、メンテナンスコスト・交換コストが高い、光熱費が高い、あとは一部だけ設置が多いので、ほかが寒く感じられるというデメリットがございます。

設置費用が高い+ランニングコスト(光熱費)が高い

床暖房の最大のデメリットは「お金がかかる」ということです。

設置費用も高く、お金がかかりますし、光熱費によるランニングコストも高いです。また、後述しますが、メンテナンスコスト・交換コストも高いです。そういうわけで、とてもお金がかかるというところが床暖房の大きなデメリットになります。

設置費用については、床暖房は床の下に温水ヒーターや電気ヒーターを設置しますから、建築中やリフォームなら床を剥がさないといけないため、エアコン等に比べると純粋に設置費用自体が非常に高いです。具体的には面積や範囲に比例すると思いますが、100万から200万円ぐらいだと思います。家一軒、全体を床暖房すると、ものすごく高額になります。

さらに、光熱費、つまりランニングコストが高いです。

エアコンはヒートポンプという仕組みを使っていて、エネルギー効率の高い仕組みなので光熱費も低くおさえられるのですが、もちろん床暖房でもヒートポンプの仕組みの床暖房もありますのでエネルギー効率が高いものもありますが、ガスの場合もありますし、総じて申し上げられることは光熱費が高いということです。

光熱費(電気代・ガス代)が高くなってしまうので、「床暖房を設置したけど、光熱費が高いので、結局使っていない」という声も多く聞くところですね。比較的ランニングコストも少しかかりがちな暖房設備だというふうに思います。

床暖房に無垢フローリングの組み合わせが厳しい

個人的には「無垢フローリング」をおすすめしています。無垢フローリングは触って気持ちいいですし、見た目も美しく、すべていいですよね。

ただ、無垢フローリングは自然素材なのでナチュラルで肌触りが良く、快適な床材ですが、本物の無垢の木を使った場合、割れたり、反れたり、隙間が開いたりなど、いろいろなデメリットがあるので、床暖房にしようと思ったら床暖房対応の無垢フローリングを使わなければいけません

床暖房対応の無垢フローリングは30mmで厚みが違うなど、いろいろな仕様の変更があるので、床暖房対応無垢フローリングという時点で比較的高いため、床暖房に対応しようと思ったときのフローリングコスト自体も高いです。

床暖房の設置費用がプラスでかかることに加え、熱を常時持っていたとしても耐えうる、安定性がある床暖房に対応したフローリングを使わなければいけないので、そこにコストがかかります。

なので、床暖房プラス無垢フローリングを使おうと思ったらお金がかかりますし、それ以外のフローリングにしてもプラスでオプションがかかる可能性も高いです。

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メンテナンスコストや交換コストが高い

その次が、メンテナンスコストや交換コストが高いということです。

何か故障があったときに修理しないといけないメンテナンスコストや、定期的な何かしらのメンテナンスを必要とされる場合は、そのメンテナンスコストがかかります。

交換コストは具体的に言えば、床暖房が経年劣化で故障してしまって入れ替えようとなったとき、それを全部入れ替えようと思ったら、床を一度全部剥がし、床暖房システム自体を入れ替えて、そしてまた上からフローリングを貼らないといけないという流れになるわけです。

これは結局、最初に申し上げたように、設置費用プラス撤去や解体、入れ替え費用がかかりますから、交換コストも結構高い代物になってしまうので、純粋にコストが高いというところに尽き、お金がかかる設備だと思います。

一部だけ設置が多いので、ほかが寒く感じられる

最後は、一部だけ設置が多いので、ほかが寒く感じるということです。

一部だけ設置するのはなぜかと言うと、床暖房を設置するコストは結構高く、設置面積が広ければ広いほど、やはりコストはかかるので、一部分、具体的に言えばLDKに設置し、もう少し広いほうが良ければキッチンや水回りに設置することが多いです。

少しコストを抑えようとなると、どうしてもLDKだけになってしまいます。

そうなったときに、LDKは足元が暖かいけれども、廊下や2階の個室は床暖房が入っていませんから結構寒く感じます。LDKだけが暖かいという対比があるので、LDKにいたら暖かくて快適ですが、ほかの場所に行くと寒く感じるという分かりやすい感覚値の差が出てしまい、ネガティブな部分が見えてしまう点がデメリットかと思います。

なぜハウスメーカーや住宅会社が床暖房を勧めるのか


ここまで、床暖房のメリット・デメリットについて詳しく見てきましたけれども、「なぜ、大手ハウスメーカーや地域工務店などの住宅会社がなぜ床暖房を勧めてくるのかの理由」についてお話していきます。

ハウスメーカーや住宅会社、工務店さんに行かれると、「床暖房を入れましょうよ」とか、「うちの住宅だったら床暖房がついています」と床暖房を勧められることが多いです。

これはなぜかというと、大きく2つの理由があります。

純粋に快適になるから

1つ目の理由は、純粋に快適になるからです。

床暖房を導入することで、冬の季節は間違いなく快適になるので、表現は悪いですが、冬に寒い家に住んでいたとしても、床暖房があれば床暖房があるエリアは暖かいので快適です。

床暖房は暖房器具としての快適さはかなり高いので、寒いという批判を受けづらいです。初期の設置費用やランニングコストは別として、純粋に快適か快適ではないかで言うと快適です。

ですから、「入れてよかったな」とは思います。好意的に受け止められやすいので、家そのもののクレームも出づらく、勧めておくと快適だというふうに言っていただけます

そういうわけで、大手ハウスメーカーや住宅会社(地域工務店も含めて)は床暖房をおすすめすることになります。

純粋に儲かるから

もう1つの理由は、純粋に儲かるからです。

先ほども申し上げたように、床暖房は設置費用でお金がかかります。

ランニングコストはガス会社や電気会社にお支払いすることになりますが、初期費用は設置した設置業者の売上になります。

具体的に申し上げれば、例えば設置費用で100万円から200万円かかったとすると、純粋に住宅会社の売上になるわけです。それに加えてメンテナンスや交換作業が発生したら、それはそれでまた売上になるので、床暖房を入れてくれたら、10年や20年に1回ですが、定期的に収入になりますし、初期費用の上乗せ分の金額が結構大きくなるので、利益が出やすく、儲かるという話です。

純粋に売上になるから勧めるというのが分かりやすい理由です。

以上の2点が、ハウスメーカーや住宅会社が床暖房を勧める理由です。

床暖房を入れるより、もっと断熱性能にお金をかけたほうがいい


最後にまとめですが、床暖房そのものとしてはやはり快適なので「床暖房を導入したい!」と強く思うような方、具体的には極度の冷え性の方などは、床暖房導入をされたほうがいいかもしれません

ただ、ほとんどの方にとっては新築の注文住宅を建築される場合は、床暖房をするよりも、もっと断熱性能などにお金をかけたほうがいいです。

要は断熱材をきちっと入れてそれなりに厚みがある高気密・高断熱住宅で、窓の開口部が樹脂サッシ以上、具体的にはペアガラストリプルガラス樹脂サッシ、ペアガラス・トリプルガラスの木製サッシのような窓を使った、高い温熱スペックでしたら、エアコンでも快適です。

エアコンで快適な家にわざわざ床暖房を200万円で入れてさらに快適にする必要はなく、床暖房なしでも、エアコンで必要十分だと個人的に思うぐらいの温熱環境になります。

エアコンでは寒いから床暖房を入れるということは温熱スペックが低い家なので、すでに家を持たれていてリフォームをしないといけないというお家にお住まいでしたら、リフォームで床暖房というのは結構ありだと思います。築40年などで床がすごく寒いと感じるなら、LDKや水回りなどに床暖房を入れることで、すごく快適な家になると思います

ただ、新築なら最初から200万円なりのお金で床暖房入れるより先に、断熱材や窓などの開口部の断熱スペックを上げることで快適することに予算を使い、エアコン1、2台で快適な家づくりをされたほうが良いと個人的には思います。

新築でも「極度の冷え性で足元が寒いのは絶対嫌なので、どうしても床暖房が必要」だとおっしゃるなら、それは入れられたほうが快適に過ごせると思います。

そうではなく、普通に快適な家に住みたいというくらいなら、床暖房にイニシャルとランニングのお金をかけるよりも、断熱性能を上げて快適な家に住まれたほうが好ましいのではないかというのが結論です。

なので、こういう判断基準を参考にして家づくりをされたほうがよろしいかと思います。

ご参考になればと思います。ありがとうございます。

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床暖房についての内容を動画でも解説しています。

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ABOUTこの記事をかいた人

でんホーム株式会社 取締役・編集長。設計に口出し、現場を管理し、記事にも口出しする何でも屋さん。油山幼稚園→堤小→長尾中→福岡中央高→九州大学経済学部卒。2人の娘を持つ。【趣味】読書