窓やサッシと一口にいっても、大きさや素材によって様々なものがあります。
窓は家の性能を決める大きな要素となり、選ぶ窓やサッシによって見た目の印象もガラリと変わります。
今回は窓が果たす役目とサッシの種類や性能、そして窓やガラスの種類についてご紹介していきましょう。
窓サッシとは?
そもそも窓サッシとはどういうものを指すのでしょうか。
窓サッシは、ガラスとガラスを取り囲む枠、サッシで構成されています。
- 関連:開口部とは?
通常、「窓」というとガラスとサッシを含めて窓といいますが、新築やリフォーム時に「窓を選ぶ」ということは、「ガラスとサッシの両方を選ぶ」ということになります。
窓サッシには「採光」「通風」「断熱」といった3つの役割があります。
詳しく見ていきましょう。
サッシの役割1:採光
サッシの役割で一番大きなものが採光です。
サッシのない家を想像してみると、家の中はいつも真っ暗で、一日中電気をつけていなければ生活できないほどです。
サッシがあれば、太陽の光を取り入れることができ室内が明るくなります。
また、サッシの位置で光の取り入れ方が変わりますので、家の快適性に大きく影響します。
サッシの役割2:通風
一日の始まりに窓を開けて、外の空気を取り入れることを習慣にしている人も多いのではないでしょうか。
サッシを開けることで、風が入り家の中の換気ができます。湿度の高い日本では、伝統的に通風の良い家を好みます。
よどんだ空気を外に出し、新しい空気を取り入れるのは大切なサッシの役割といえるでしょう。
サッシの役割3:断熱
サッシの最後の役割は「断熱」です。
冬に家の中が寒い理由のひとつに、サッシから部屋の中の暖かい空気が外部に逃げている、つまり、断熱性が低いことがあげられます。
昔、日本の家屋のサッシは木製のものがほとんどで、湿度で建て付けが悪くなったり、隙間風が入ったりしてとても快適とはいえませんでした。
しかし、住宅の性能が向上するとともにサッシの断熱性もアップし、今ではサッシの素材はアルミや樹脂製のものなど様々なものが登場しています。
それと同時に、ガラスも単板ガラスや複層ガラスが生まれ、さらには、より断熱性の高いトリプルガラスやガスを注入したものが登場しています。
窓の断熱性を高めることで、冬は家の中のあたたかな空気を外に逃がすことなく、夏は外部の熱を家の中に入れないということが可能になります。
サッシの種類・性能
サッシの種類として、多くの方がご存じなのは「アルミサッシ」ではないでしょうか。
アルミサッシは、木製のサッシが当たり前だった日本で、高度成長期の経済の発展とともに普及しました。
現在では、アルミサッシ以外に、より断熱性の高いアルミと樹脂の複合サッシなどが登場しています。
現代で注文住宅に使用可能な窓サッシの種類としては大きく4種類です。
- アルミサッシ
- アルミ樹脂複合サッシ
- 樹脂サッシ
- 木製サッシ
以上になります。
窓サッシの性能について
窓サッシの種類と断熱性能については下記のようになります。
断熱性能高い:樹脂サッシ、木製サッシ(工場生産品)
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断熱性能中:アルミ樹脂複合サッシ
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断熱性能低い:アルミサッシ
これはサッシ(窓の建具枠)に使用される素材が性能を決めることになります。
サッシの素材の熱伝導率
サッシの素材の熱伝導率は下記のようになります。
数値が小さいほうが、熱を通しづらいという意味合いになります。
- アルミ:200
- 樹脂(塩化ビニル):0.17
- 木材:0.12-0.19
熱伝導率が低いほど、断熱性能が高いです。
基本的に金属は熱伝導率が高いです。熱を通しやすいです。そのため、断熱性能は低いです。
そこで、金属製熱遮断構造をとったり、樹脂との組み合わせで断熱性能を高めることが必要となります。
サッシの価格帯について
また、サッシの種類によって価格帯が異なります。
カンタンな話で、性能が高いものほど価格も高いというわけです。
価格:アルミサッシ<アルミ樹脂複合サッシ<樹脂サッシ<木製サッシ(工場生産品)
こんなイメージです。
アルミサッシ
アルミサッシは軽くて強度があるので、力のない女性や子どもでも開け締めが容易なのが特徴です。耐候性や防火性、耐久性にも優れています。
ただ、アルミはサビに強い素材ですが、お手入れをせずにいると水分を含んだホコリが原因でサビが発生することがあります。また、熱伝導率がとても高いので断熱性は劣るといったデメリットもあります。
アルミ樹脂複合サッシ
アルミのデメリットを補うように、アルミと樹脂の複合サッシが最近主流になってきました。
樹脂(プラスチック)は熱や音が伝わりにくいという特徴があります。
ほとんどのアルミ樹脂複合サッシは、室内側は熱の影響を受けにくく音が伝わりにくい樹脂を採用し、室外は耐候性のあるアルミでできています。ただ、樹脂はアルミほど耐久性がないため、寿命が短いというデメリットがあります。また、アルミサッシよりコストが高くなります。
サッシを新しくする際には、アルミ樹脂複合サッシのメリット・デメリットをよく把握した上で検討しましょう。
樹脂サッシ
樹脂サッシは、断熱性が高く熱伝導率が低いことから、近年ではアルミサッシに代わって採用する方が増えてきました。
特に北海道や東北地方などの寒冷地では、樹脂サッシが多く使われています。
樹脂サッシの最大のメリットである熱伝導率の低さは、アルミのなんと1,000分の1。
そのため結露が生じにくく、カビの発生を防いだりダニの繁殖を防いだりというメリットがあります。また、樹脂サッシは金属ではないため、海沿いの地域によくある塩害を受けることがなく劣化しにくいというメリットもあります。
メーカーや商品によって違いはありますが、多くの場合、樹脂サッシの内側には「中空層」と呼ばれる空間があります。中空層は、断熱性能を高め熱が出入りするのを防ぐという効果があり、さらに中空層に断熱材を入れることで断熱性能を大幅にアップしているものもあります。
また、溶着加工を施すため気密性が高く隙間風の侵入を防ぐ効果と防音効果もあります。そのうえ、複層ガラスやLow-E金属膜をコーティングした高性能なガラスとの組み合わせにより、断熱性がより向上します。
ただ、アルミサッシに比べると耐久性が低いことがデメリットといえます。メーカーによって性能が様々ですので、樹脂サッシを選ぶ際にはよく比較検討しましょう。
樹脂サッシの代表的なメーカーは「YKK AP」です。
木製サッシ
また、木製サッシのもつあたたかみのある素材感や、インテリア性のあるデザインが見直されて人気も高まってきました。
木製サッシは昭和の初期までは日本でも当たり前に使われていましたが、極寒の地である北欧では、断熱性の高い木製のサッシが今でも広く普及しています。日本でも北欧の高性能なサッシに続けと、断熱性や気密性の高い木製サッシがメーカーからいくつか登場しています。
中には、防火認定を所得したものまであります。
木製サッシは、そもそも熱が伝わりにくい素材ですので、結露がほとんどないのが特徴です。また、経年による狂いや腐食といったデメリットも、メーカーの努力で耐久性を高めるための工夫が施されたものも見られるようになりました。
ちなみに木製サッシの有名メーカーは「アイランドプロファイル」社になります。
ご紹介してきたように、サッシにはいろいろなタイプがあります。冷たい印象を受けるけれども耐久性のあるアルミサッシ、断熱性と防音性の高い樹脂サッシ、それらを複合させたアルミ樹脂複合サッシ、あたたかみのある木製サッシなど……。いずれにもメリット・デメリットは存在しますので、納得のいくものを選びましょう。
窓の種類
サッシの種類や性能がわかったところで、次に窓の開け方によって違う窓の種類について見ていきましょう。窓の種類はデザイン、形状が違ったものが多数販売されています。
窓ひとつで、家の雰囲気がガラリと変わりますのデザインも大切ですが、やはり窓の基本性能である「採光」「通風」「操作性」にもこだわって選びたいものです。
引き違い窓
水平方向に、横に引いて開ける横滑り窓のひとつで、左右どちらからでも開けられるものを引き違い窓といいます。ふすまや障子と同じ動きをするものだといえばわかりやすいでしょうか。大きく開けたり小さく開けたりすることで開口部の調整がしやすく、一般的な住宅に多く取り入れられています。
縦すべり出し窓
窓枠の上下の溝に沿って、左右のどちらか一方から、窓を部屋の外へすべり出して開けるものを縦すべり出し窓といいます。外気を簡単に入れることができます。
横すべり出し窓
縦すべり出し窓を90度回転させたものが、横すべり出し窓です。縦すべり出し窓が左右であったのに対し、横すべり出し窓は上下に溝に沿って外へすべり出して開けます。通気性能は縦すべり出し窓には劣ります。
FIX窓
窓枠に窓ガラスをはめ込み固定している窓のことをFIX窓といいます。開けることができないため、「はめ殺し窓」とも呼ばれています。形の自由度が高いため、丸い窓を作ることも可能です。
上げ下げ窓
名前の通り、下の窓を上げたり上の窓を下げたりして開けるものを上げ下げ窓といいます。ちょうど引き違い窓を90度回展させたものと考えるとわかりやすいかもしれません。上下の窓が2枚とも可動するタイプと、下の窓だけ開閉するタイプがあります。デザイン性に優れていますが、いずれも窓の外側が掃除しにくいといデメリットがあります。
ルーバー窓
何枚もの細長いガラスを、ハンドル操作で開閉するタイプのものです。ジャロジー窓とも呼ばれています。開く角度を自由に調整できるため、通風の確保がしやすいいっぽう、防犯面が心配。面格子との組み合わせで使用しましょう。
天窓
屋上や屋根に設置する窓のことを天窓といい、トップライトと呼ばれることもあります。壁に設置した窓より3倍もの採光量があります。空が見えるので開放感があり、部屋が格段に明るくなります。ただ、雨が降ると音が気になったり、夏は日差しが入りすぎて暑くなったりといったデメリットがあります。
ちなみに天窓のトップシェアメーカーは「ベルックス(VELUX)」になります。
天窓についての詳しい記事はこちら。
防火窓
防火窓は、火事による延焼や火災を遮る性能をもつ窓のことをいいます。これまでは、防火設備に該当する窓として「鉄及び網入りガラスで造られたもの」だけが防火窓として規定されていました。
しかし、木製や樹脂製のサッシの需要が高まっているとして、これまでの網入りガラスに加えて、防火上有効に炎を遮ることができる耐熱強化ガラス、耐熱結晶化ガラスなどの透明な防火ガラスについても、防火窓として位置づけられることになりました。
出窓
最近は減ってきましたが、かつては出窓がウリの住宅も多かったです。
出窓とは名称の通り、窓の部分が外側に出っ張っているのが特徴です。出っ張っているところをすべてを窓にすると、日光の当たる面積が広く、一日を通して日差しを室内に入れることができます。
また、特有の形状から建物のデザインに与える影響が大きく、洋風でおしゃれな雰囲気を演出するのに最適です。
基本的には出っ張っている部分とそれを支える形になる側面の三面の形状になっているので、窓の開閉の有無を自由に選択することが可能です。通気性や採光性、建物の外観の美しさなど優先すべき事柄によって機能に違いを持たせることができます。
掃き出し窓
ガラス部分の面積が非常に広いので採光性が高く、リビングのように広いスペースを明るく照らすのに最適です。また、窓が大きいことから荷物の出し入れを行う場所に使われることもあります。
住宅では庭やベランダに面する部屋の窓に使われるのが一般的です。大型の窓である分、重量があるので開閉の際には注意する必要があります。
スリット窓
スリット窓とは「細長い切れ目」を意味するスリットの言葉通り、窓が細長い形状になっている窓です。
人の体が通れないほどの細さなので防犯面での問題が無く、採光性や通気性も保てるのが利点です。
その他
その他の窓として代表的なものが「二重サッシ」ですね。
サッシが二重(2枚)になっている窓のことです。
既存の戸建て住宅の窓サッシの性能が低い場合、追加でサッシを取り付けて二重サッシにすることで、快適な空間にリフォームできます。断熱リフォームなどの一種ですね。
- 関連:二重サッシ
ガラスの種類
窓の種類がわかったところで、ここからは窓に使われるガラスの種類についてお伝えします。
単板ガラス
単板ガラスは、フロートガラスとも呼ばれています。透視性や採光性はありますが、防犯性能や強度が低く特別な機能を持たない一般的なガラスです。
ペアガラス(Low-E・遮熱)
ペアガラスは、2枚のガラスを使っているもので、ガラスとガラスの間には中空層があり、複層ガラスとも呼ばれています。中の空気層が厚ければ厚いほど断熱性が高まります。
また、ペアガラスに薄い特殊金属膜をコーティングしたLow-Eガラスは、遮熱効果があり、夏の暑い日差しや熱を低減します。
トリプルガラス
ペアガラスが2枚だったのに対し、トリプルガラスはガラスが3枚あるものをいいます。ガラスの層に空気より重く断熱性の高いアルゴンガスまたはクリプトンガスを封入し、遮熱効果の高いLow-Eガラスを使用しています。非常に断熱性が高いのですが、その分重量が重いというデメリットがあります。
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