快適な住環境を作るためには、窓だけでなくサッシの性能も重要です。
日本ではアルミサッシを使っている家庭が多いですが、実は先進国でアルミサッシが積極的に使われているのは日本だけなのだそうです。
窓枠に使われるサッシにはアルミサッシだけでなく、樹脂サッシ、木製サッシの3種類があります。
下記の表が「樹脂サッシの普及率」になります。
アルミサッシが41%、アルミ樹脂複合サッシが42%、樹脂サッシが17%、木製サッシは1%以下です。性能は樹脂サッシと木製サッシが高く、アルミサッシよりはアルミ樹脂サッシのほうが性能が高いです。もちろん、コストも性能に応じて高くなります。
それでは、今回はアルミサッシと樹脂サッシの中間である「アルミ樹脂複合サッシ」について解説していきます。
目次
アルミ樹脂複合サッシとは?
アルミ樹脂複合サッシとは外側(屋外側)にアルミ、内側(屋内側)に樹脂を使った複数の素材を組み合わせて製造されたサッシ(窓枠)のことを指します。
アルミと樹脂を組み合わせることで、それぞれの良い点を感じることができるようなサッシになります。
アルミ樹脂複合サッシのメリット
では、アルミ樹脂複合サッシのメリットについてみていきます。
軽くて強度があるようにつくることができる
アルミ素材のメリットが「軽くて強度がある」ですから、そのメリットを継承しています。
具体的には、同じサイズの窓で比較したときの「ガラス面積」が違います。
これはサッシ(窓枠)の太さを比較したときに、完全な樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシで比べると、アルミ樹脂複合サッシのほうが枠が細いです。それはアルミの軽くて強度があるという特徴があるからです。
アルミ樹脂複合サッシのほうが、樹脂サッシよりも、同じ窓サイズでも、ガラス面積が広いです。
耐候性が高い
アルミは雨風に強く、さびにくいという性質があります。
樹脂サッシの場合は強度を上げるために厚く、強化することでカバーしています。
アルミ樹脂複合サッシの場合、アルミ素材を外側(屋外側)に持ってくることで、耐候性の高さを活かしています。
紫外線にも強い
樹脂サッシは紫外線に弱いです。
その点、アルミサッシであれば、問題ないです。紫外線に強いです。
そこで、アルミ樹脂複合サッシの場合、アルミ素材を外側(屋外側)に持ってくることで、紫外線に対して強い状態にできます。
結露をある程度、防ぐことができる
技術的な話になるのですが、アルミサッシとアルミ樹脂複合サッシのそれぞれの熱貫流率を比較しますと、以下の通りです。
- アルミサッシ:4.65(W/m2・k)
- アルミ樹脂複合サッシ:2.33(W/m2・k)
- 樹脂サッシ:1.37(W/m2・k)
熱貫流率は熱の伝えやすさでして、熱を伝えやすいほど、結露します。
アルミサッシの場合、結露します。
アルミ樹脂複合サッシの場合、結露をある程度防ぐことができます。
ちなみに樹脂サッシの場合、結露をかなり防ぐことができます。
結露は住宅の天敵と言われており、結露やカビやダニの発生、または木材にシミを作り、柱を腐らせてしまうこともあります。
ダニの死骸やカビを吸い込むと呼吸器疾患やアレルギー症状を引き起こしたりなど、結露は住宅だけでなく人間の健康にも悪影響も及ぼしてしまいます。
アルミだけでは断熱をまともにすることができませんが、アルミ樹脂複合サッシにすれば断熱性が高まり、結露防止になります。
樹脂サッシより安価
価格的な話で言いますと、樹脂サッシよりも、アルミ樹脂複合サッシのほうが安価です。
コスト的にアルミ樹脂複合サッシのほうが安いということがあって、樹脂サッシよりも注文住宅におけるシェアは高いです。
木造住宅用のサッシでのシェアはアルミ樹脂複合サッシは54.2%。樹脂サッシは19.3%。
参照:『平成30年3月版住宅用建材使用状況調査の概要』一般社団法人 日本サッシ協会[外部リンク]
アルミ樹脂複合サッシのデメリットは?
では、アルミ樹脂複合サッシのデメリットについてみていきます。
結露しないわけではない
前述したとおり、結露をある程度、防いではくれるのですが、結露しないわけではありません。
半分アルミ、半分樹脂ですから、半分のアルミ部分は結露します。
また、熱貫流率からもおわかりなように、結露する場合があります。
樹脂サッシと比較しますと、結露しますのでご注意を。
アルミ樹脂複合サッシを作っているメーカー
木造住宅用のアルミサッシを製造・販売しているサッシメーカーは大手三社になります。「YKK AP」「リクシル(LIXIL)」「三協立山アルミ」の三社です。
各社のアルミ樹脂複合サッシについてご紹介します。
YKK AP『エピソードNEO』
YKK APのアルミ樹脂複合サッシは「エピソードNEO」です。
国内のサッシ業界のシェアはYKK APとリクシル(LIXIL)の二強です。
二強だからこそ、お互いの同一商品ライン、つまり、アルミ樹脂複合サッシの内容で大きな差はありません。
大きな差があれば、そのときは相手がそれを同じようにして差を埋めます。大差がないように、お互い切磋琢磨せざるをえない状態というわけです。
リクシル(LIXIL)『サーモスL』
リクシル(LIXIL)のアルミ樹脂複合サッシは「サーモスL」です。他にもありますけれども、代表商品は「サーモスL」です。
「サーモスL」の特徴はやはりフレームがスリムなことです。
室内からフレームがほとんど見えず、まるで窓が存在していないかのようなシンプルで美しいフォルムなところがウリです。
ガラス面が大きく、光や景色が感じられます。
アルミ樹脂複合サッシの選択肢
アルミ樹脂複合サッシの選択肢としては
- 複層ガラス/Low-E複層ガラス
- 遮熱/断熱
- アルゴンガス/乾燥空気
- 防犯/普通
アルミ樹脂複合サッシのガラスの種類が「複層ガラス/Low-E複層ガラス」であったり、「遮熱/断熱」も選択できます。
また、中空層が「アルゴンガス/乾燥空気」を選択できますし、ガラス自体も「防犯/普通」どちらも選ぶことができます。
住んでいる地域がどこかで、おすすめサッシは変わります
これまでアルミ樹脂複合サッシについて解説してきましたが、「住んでいる地域がどこか?」によって選択肢が異なります。
正直言って、住んでいる地域が「東北、北陸、北海道、甲信越」であれば、少なくとも樹脂サッシで、できたらトリプルガラスの樹脂サッシをおすすめします。
それは長期的なコストパフォーマンスです。
初期費用としてはもちろんアルミ樹脂複合サッシが安いのですけれども、断熱性能が低いことで光熱費がじわじわとかかってきまして、初期費用を安く仕上げた分も超過するほどの光熱費が結局はかかります。
ですから、ペアガラス樹脂サッシ以上を長期的な視点ではおすすめサッシとしています。
動画で解説
アルミ樹脂複合サッシについて、また、そのメリット、デメリットについて模型を用いながら動画で解説しています。
▽窓・サッシについての疑問はこちらで解決!
▽いい断熱材を選んでエアコン1台で家じゅう快適に!