「日当たりのいい家」
「明るい家」
「朝日を浴びることのできる家」
家づくりをされる方の希望として、これらのご要望は大変多いです。
その一方で、敷地の都合上、なかなか窓を設けることが難しい場合もあります。
また、狭小地で窓をつくっても、あまり明かりが入らない場合もあります。
ほかにも、隣の家の窓とのプライバシーの問題。
見たくないエアコンの室外機。そして、壁。
そんなときに重要になるのが「天窓」です。
天窓は壁面の窓に比べて3倍の採光効果があります。
また、ほかにも様々なメリットが・・・
というわけで、今回は天窓メーカーとして世界のトップブランドと評価されるベルックスを詳しくみていきたいと思います。
目次
日本ベルックス株式会社に取材に行ってきました
天窓メーカーとして世界のトップブランドと評価されるベルックス。
日本の天窓市場のシェアは約60%以上と、半分以上のシェアを持っています。
日本の天窓の2つに1つ以上はベルックスの天窓です。
そのベルックスの天窓を日本で展開されていらっしゃる日本ベルックス株式会社 営業推進室室長 中野要様にお話を伺ってきました。
べルックス社の創業ストーリーとは?
-「天窓といえばベルックス」というイメージがありますけれども、そもそもベルックス社の成り立ち、創業ストーリーについてお聞かせいただけますでしょうか?
日本ベルックス株式会社 営業推進室室長 中野要様(以下:中野様):はい。
創業者のVillum Kann Rasmussen(ヴィルム・カン・ラスムセン)は1909年にデンマークの島・マンド島で生まれました。
1932年、ヴィルム・カン・ラスムセンは現在のデンマーク工科大学を卒業。
Edvard Storrというコペンハーゲンにある会社で、ガラスの屋根・天窓部門のマネジャーとして就職します。
1941年4月1日、ヴィルム・カン・ラスムセンはデンマーク・コペンハーゲンで、自分の会社、V.Kann Rasmussen & Coを設立します。ガラスの屋根に特化した会社でした。
1941年秋、ヴィルム・カン・ラスムセンは学校の校舎に多数の天窓を供給してくれないか、と要望を受けます。
当時のデンマークはドイツ軍に占領されていました。
そのため、学校の校舎はドイツ軍に接収されていて、子供たちは屋根裏を使って勉強することとなっていたんです。
そこで、天窓を使うことで、この屋根裏スペースでも快適に子供たちが勉強できるように、ということで、天窓の要望があったのです。
ベルックス(VELUX)の名前の由来とは?
中野様:
1942年、初めての天窓がSlagelse Vestre Schoolという学校に納品されました。
そのときに書いたのが「VELUX」。
「VE」はventilationという意味。
「LUX」はlightの光という意味。
つまり、採光と通風ができる窓、天窓という意味でVELUXという名前が生まれました。
また、1981年にデンマーク本社の100%出資子会社として、日本べルックス株式会社が設立されました。
日本ベルックスは日本で唯一の天窓専門メーカーとして30年以上、活動しています。
ベルックスの強み・特徴とは?
-日本で「天窓といえば、ベルックス」のようなイメージがあるのですが、実際、市場シェアはどのくらいでしょうか?
中野様:正確な数字は不明ですが、おおざっぱな数字で申し上げますと、日本の天窓市場のシェアは約60%以上です。
-ほう。60%以上となると、過半数のシェアでやはりトップシェアですね。
中野様:そうなります。
-その天窓市場でのトップシェアには理由があると思います。
ベルックスがトップシェアになった理由というか、強みはどのようなものでしょうか?
中野様:
ベルックスが大きな市場シェアを持つに至った最大の理由は「安心」です。
ベルックスの天窓は「安心」:保証が手厚い
中野様:「安心」には2つのポイントがあります。
第一に「保証が手厚い」というポイントです。
ベルックスの天窓にはすべて長期の保証がついています。
スカイビューシリーズのガラス面シーリングからの雨水浸入、ガラス内部結露については20年保証が付いてます。
窓枠、サッシ間からの雨水浸入、水切りについては10年保証。
ブラインド、手動操作キット、モーターなどの電装部品については3年保証。
これらの保証は天窓メーカーとしては、長い保証です。
そして、フィックスも開閉タイプも同じ保証となります。
技術力が高くなければ、なかなかできないことだと思います。
ベルックスの天窓は「安心」:メンテナンス等のアフターフォロー体制の充実
中野様:もうひとつのポイントは「メンテナンス等のアフターフォロー体制の充実」です。
天窓はやはり屋根面にありますから、環境としては過酷な状況にあります。
直射日光を強く浴びますし、雨風にも強くさらされることになります。
これまで天窓を製造していたメーカーさんはあったのですが、過酷な環境に天窓は置かれますから、色々と不具合などもあり、メンテナンスやアフターフォローを考えると、なかなかリスクが高いということで撤退されていらっしゃいます。
そのなかで、メンテナンスやアフターフォロー体制を充実させ、長期にわたってお使いいただけるよう、サービス体制を整えています。
点検制度なども設けております。
▲実際に交換した20年以上経った天窓
-なるほど。天窓はやはり過酷な環境に置かれますから、おいそれとは製造できないわけですね。技術力やアフターフォロー体制がなければ、なかなか継続することができない仕事というわけですね。
ベルックスの天窓の特徴とは?
-それでは、ベルックスさんの天窓についてお話を聞いていきたいと思います。
ベルックスさんの天窓の特徴としては、どのようなものがございますでしょうか?
中野様:ベルックスの天窓の特徴としては大きく2つあります。
「木枠」と「ガラス」です。
ベルックス天窓の特徴「木枠」
中野様:
特徴的なので、すぐにおわかりかと思いますが、ベルックスの天窓は木枠をつかっています。
木製サッシになります。
パイン材の多重集成材です。
木枠は美しいだけではなく、断熱性や耐久性など天窓の部材として優れた特性をもっているからこそ、使用しています。
北欧家具をイメージさせる木目とフォルムは美しさと実用性を兼ね備えた特徴になります。
ベルックス天窓の特徴「ガラス」
中野様:ベルックスの天窓の特徴としてもうひとつあるのが「ガラス」です。
ベルックスはいち早く天窓にふさわしい高性能な複層ガラスの開発に取り組んできました。
ベルックスの天窓に使用される複層ガラスはすべてアルゴンガス封入のLow-E遮熱・断熱・強化複層ガラスです。
室外側はすべて強化ガラスになります。
一般のガラスの3倍以上の強度をもつ強化ガラスを使っています。
これは雹などの耐候性を持たせるためです。
また、スカイビューシリーズのガラスはNeatガラスを標準採用しています。
Neatガラスはガラス外側に二酸化チタンと二酸化シリコンの薄い膜を施し、親水性のあるガラスにしているものです。
雨がかかっても、外がきれいに見えます。
汚れがつきづらいです。
わかりやすい話で言いますと、UV(紫外線)を96-99%カットしています。
室内の壁や家具類などの色あせを軽減します。
そのほかにも、ガラスの点で色々な工夫をしています。
日本の天窓事情は?
-ありがとうございます。
それでは話が変わりまして、日本の天窓事情についてお伺いしたいと思います。
日本ではどのような天窓が多く売れているのでしょうか?
中野様:
65%くらいがフィックス天窓(開け閉めできない天窓)になります。
日本市場ではほとんどが明かり取り目的でのフィックス天窓ですね。
開閉可能な天窓としては、スカイビューシリーズ(高い位置にある天窓)が残りのほとんどを占めます。
電動で開閉する天窓が増えてきており、今後も電動が主流になってくると思われます。
-ということは、手動で開け閉めできる天窓は少ないということですか?
中野様:そうです。
ルーフウインドウシリーズ(手の届く位置にある天窓)は日本市場では需要が少ないですね。
-えっ。
ルーフウインドウシリーズ(GGL手動タイプ)は売れてないんですか?
ザ・天窓というイメージがありますが・・・
中野様:
ヨーロッパ市場では小屋裏が多く、明かりとりと言うよりは窓の感覚で使用されているためルーフウィンドウシリーズ(屋根の窓)が大半を占めていまして、逆にフィックス天窓は少ないんです。
日本市場では小屋裏は少なく、明かりとりとしての目的が多いためフィックス天窓が主流になっています。
-そうなんですね。グローバルにみていくと、日本ならではの特性があるものなんですね。
天窓から考える理想の家づくりとは?
-それでは「天窓から考える理想の家づくりとは?」というテーマでお話を伺いたいのですが?
中野様:
まず、天窓は住宅の暮らし心地を向上させる機能が色々備わっている商品です。
第一に、開閉可能な天窓の場合、通風の効率が4倍になります。
南北の窓だけを開けた場合と、南面の窓と階段上の天窓を同時に開けた場合とを比較すると、後者のほうが4倍の通気量を得られるといわれています。
次に排熱効果があります。
上昇気流で温まった空気を上に流し出す効果が煙突効果ですが、天窓を開けていれば、この効果で上へと空気が抜けて排熱できます。これは夏の暑さを効果的に軽減できます。
そして、自然光を効果的に利用できます。
天窓があれば、自然光が建物の奥まで照らす効果が得られますから、家事から読書まで室内作業の効率と快適性を向上させます。
日本では主に、この採光の効果を重要視されているみたいです。
このように、天窓は住宅の暮らし心地を向上させる機能が色々と備わっています。
ですから、この天窓をうまく活用することで、もっと住宅の暮らし心地をアップさせていくことが可能なんです。
-天窓の活用法、ということですね?
中野様:はい。そうです。
たとえば、トイレ、洗面所、キッチン、ダイニングは家にとって大切な場所です。
これらがなければ、家として成立しません。
ここに天窓を持ってくると、どうでしょうか?
よく使う朝に自然光が入ります。
キッチンやダイニングでは、朝食のときに朝の自然光で気持ちよい朝食がとれます。
▲キッチンが・・・
▲天窓が加わると、明るいキッチンに。
トイレや洗面所では、見られたくないところですから、窓があってもカーテンがかかっていたりします。
ここを天窓を使うことで、朝日を浴びながら、トイレや洗面ができます。
心地よい空間になります。
プライバシーを気にする必要なく、明るい空間になります。
朝日を浴びると、脳に刺激になり、健康によいそうです。
都市部でなかなか窓をとれない敷地でも、天窓があれば、明るい自然光の入る心地よい空間になります。
このようなかたちで、今まで朝日、自然光を採り入れることの難しそうな場所でも、天窓があれば、自然光がとりこめて、気持ちよい空間になります。
また一番知っていただきたいのが、天窓ならではの青い空の色や上からの光の美しさ、心地よい風など住む人の5感を刺激する空間演出ができる事です。
うまく天窓を活用して、素敵で気持ちのよい家づくりをしていただきたいです。
-ありがとうございました。
取材を終えて。竹内の感想
でんホームでも、実際に多くの住宅で天窓を採用してきています。
その天窓はすべてベルックスの天窓です。
「天窓といえば、ベルックス」というイメージから、全面的に採用していました。
今回、取材させていただいて、やはり正しい選択だったのだと再確認しました。
市場シェアがトップである理由にもなりますが、やはり安心感があって、保証があって、そして、メンテナンス・アフターフォロー体制がきちんとしているという点が大きいです。
技術力も高いことで、しっかりとした天窓を製造されているというところも重要だと思いました。
色々と天窓にはメリットがあります。
ただ、取材のなかでは述べられていませんが、天窓は一般的な窓に比較してコストがかかります(フィックスタイプ本体43,000円から、取付費別)。
お金がかかるわけです。
ですので、天窓がいいな、と思っても、予算の都合上、なかなか採用できないケースもあるかと思います。
天窓のメリット、デメリット、予算など、複合的な検討から、夢のマイホームを最高の暮らし心地にされることを願っております。
取材協力:日本ベルックス株式会社様
https://www.velux.co.jp/