差し掛け屋根・招き屋根のデメリット

 

目次

差し掛け屋根・招き屋根とは

招き屋根とは、建物の両側に二つの斜面を均等にふき下ろした切妻屋根を応用したものです。切妻屋根のてっぺんを起点に、片側の傾斜面は長くしてもう片方の傾斜面は短くすることで、長さが違う屋根を組み合わせる屋根タイプです。一方、差し掛け屋根とは、切妻屋根を段違いにして、片側の傾斜面を段差となった壁に差し掛けたものを言います。また、差し掛け屋根・招き屋根とは、この二つの屋根を組み合わせたものです。切妻の長さが異なる屋根を設け、短い方の屋根の下に、段差のある片流れの屋根を差し掛けます。招き屋根と差し掛け屋根の両方のメリットを受けられ、屋根のデザインも凝っているため、住宅にこの屋根タイプを選ぶ人もいます。

別荘地では、差し掛け屋根・招き屋根が積極的に取り入れられています。その理由は、周囲に木々が茂っていて落ち葉がかかりやすいことと、高地にあることから雪が降りやすいからです。落ち葉の中でも特に針状の松葉が屋根に積もると、雨漏りの原因になります。そのため、なるべく勾配をつけて落ち葉が地面に落ちるようにしておくのです。また、雪に関しても、雪下ろしをする人がいなくて冬の間中雪が積もった状態を避けるため、勾配をつけて屋根から自然に雪が落ちやすくします。中には、夏の別荘地として知られる軽井沢のように、軒の出具合や屋根の勾配率などを、景観条例で細かく設定している地域もあります。”

 

差し掛け屋根・招き屋根のメリット

採光性・風通しに優れている

差し掛け屋根・招き屋根のメリットは、第一に採光性や風通しに優れていることです。屋根と屋根の段差となった部分の壁に、窓や通風口を設置することができます。採光窓を設けても小さな屋根がかかっているため、フラットな屋根に設置する天窓のように窓から雨漏りする心配も少なくなります。

風に強い

第二のメリットは、風に強いことです。二つの屋根で支え合うような形になっているので、どちらの側から強風が当たっても風を分散させることができます。

太陽光パネルを設置できる

第三のメリットとして、太陽光パネルをたくさん設置できることです。光がよく当たる南面の方角に長い方の屋根を設ければ、発電効率も上がります。

この屋根タイプは、片流れの屋根と切妻屋根の両方のメリットを受けられ、それぞれのデメリットをなくすことができます。片流れの屋根は片面の大きな屋根なので、南面を屋根にすると太陽光パネルをたくさん設置して発電効果をアップさせることができますが、屋根裏スペースを取りづらく構造上自然換気をしにくいです。また、切妻屋根では、屋根裏スペースが取れて換気に優れ、太陽光パネルも多めに設置できますが、ありふれたデザインになってしまいがちです。差し掛け屋根と招き屋根なら、個性的な屋根で太陽光発電にも向き、換気の良さも実現できます。

 

差し掛け屋根・招き屋根のデメリット

差し掛け屋根・招き屋根のデメリットは一番に、雨漏りするリスクが高くなることです。フラット屋根の天窓ではないので窓から漏れるわけではありませんが、屋根などの接合部分をしっかり施工しておかないと、雨が壁の中に入り込んで室内に漏れてきてしまいます。雨漏りは壁をつたうので、どこから入ってきているのかを判明するのが難しいもの。このタイプの屋根は接合部が多くなるので、シンプルな屋根タイプよりどうしても雨漏りのリスクが上がってしまうのです。そのため、丁寧な施工をしてくれる業者を選び、定期的なメンテナンスをすることが重要になります。

また、この屋根タイプを見ると、デザインがアンバランスに見えるという人もいます。片方が段違いに下がっているので、シンメトリーにはなりません。均等な屋根の方がしっくりくるという人には、初めのうちは不自然で落ち着かないということも十分起こりえます。ただ、意外と見慣れるのには時間がかかりませんし、この屋根タイプの機能性を取り入れたい場合には、デザインを工夫することで自分の感覚にマッチした屋根に仕上げることもできます。