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透湿防水シートとは?
透湿防水シートとは、その文字の通り「湿気を透過させ、水滴を防ぐ」機能を持ったシートのことで、雨水などの水を防ぎ、湿気を通して外に逃がすために使われるシートです。防水目的のシートになります。
構造としては0.5~3μmほどの小さな穴が沢山空いており、水蒸気(0.0004μm)のように小さな粒子は通過させますが、霧(100μm)や雨(2,000μm)のような大きな粒子は通しません。
シート自体は防水性を持っており、外からの水の侵入を防ぎ、家の中に生じた湿気を外に逃がす役割を受け持っています。
最も有名な透湿防水シートは米国・デュポン社の「タイベック」ハウスラップですね。遮熱性能のある「タイベック・シルバー」もあります。日本のメーカーではフクビのスーパーエアテックスなどもありますね。
透湿防水シートの必要性
ここでは透湿防水シートの必要性について解説します。
防水性の必要性
透湿防水シートの必要性で最も大切なのが「防水性」です。
防水というのは端的に言えば「雨漏り」に対する対策です。
屋根の防水も大切なのですが、台風や強い雨で横なぐりの雨があったりしますから、壁に対しても防水性が必要です。
その壁の防水性を高めるのに必要になるのが透湿防水シートになります。
透湿性の必要性
従来の木造住宅は隙間が結構あったので、家の中で発生した湿気(水蒸気)はその隙間から外に出ていました。
しかし建設技術の進歩によって、家の断熱性能が上がり高い気密性を持つようになってきました。つまり隙間が少なくなった訳です。
一般的な住宅の構造は簡単にいうと外側から外壁(外装材)、断熱材、内壁となっています。
気密性が高くなり逃げ場を失った湿気は内壁から出て断熱材を通過します。断熱材の内側は家の中の温度で水蒸気の状態ですが、断熱材の外側は外気温によって温度が下がり断熱材の外側の表面で結露します。
水分は木造住宅には劣化の元で、断熱材が劣化したりします。
そこで、断熱材(正確には断熱材に取り付ける構造用合板等の耐力面材、ないしは筋交い)の外側に透湿防水シートを張り付け、外壁との間に通気用の空間を作り、透湿防水シートを通過して結露した水分を通気によって乾かすことで、劣化を防ぐようになりました。
この工法を外壁通気工法といい、断熱性に優れた住宅(高気密高断熱住宅)を建てるときに必要な工程になっています。
透湿防水シートの性能
透湿防水シートの規格は日本工業規格のJIS A6111 :2016によって定められています。
分類は一般地用の透湿防水シートA種と寒冷地用の透湿防水シートB種の2種類があり、後者の方が透湿性は厳しくなっています。
簡単に諸元を説明すると、強度は工事中に大人の体重をかけて引っ張っても大丈夫であり、風速約29m/sの暴風にも耐えられる強さになっています。発火性は、発火しないようにグラスウールの外皮材と同じ値に設定されています。防水性は従来使われていたアスファルトフェルトと同等あるいはそれ以上の性能を持ちます。
耐久性は10年瑕疵保証に対応できるよう求めています。また、参考として30年、50年目安の劣化促進試験の実施も求めています。
熱収縮率は壁の中で気温の上昇によりシートが伸縮して留め部分から亀裂しないように値が設定されています。
防風性はシートの透湿防水性以外に外気が侵入して断熱材の劣化がないように値が設定されています。
このように、透湿防水性以外にも強度や耐久性など透湿防水シートとしての役割を果たすために必要な数値が設定されているので、規格を満たしていれば10年は安心して使えるものと考えられます。
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