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アルミニウムの特徴
“1円玉やアルミサッシなど、生活面で欠かせない金属の一つがアルミです。建築関係でドアレバーや水道の水洗、屋根瓦の一部、住宅の外装および内装用パネルとして使われることが多くなっています。錆びにくく軽いことが特徴と思われていますが、実はアルミでも錆びます。具体的にどんな場合に錆びるのか、どれくらいの期間で錆びるのかを理解しておくといいでしょう。
アルミニウムが錆びる原因
錆びの原因として挙げられるのが、ほこりやチリ、ススなどの汚れの付着です。地域によっては、砂や潮風による影響で錆びてしまうこともあります。基本的に他の材質と比較して錆びに強いですが、付着した汚れを落とさずに放置しておくと大気中の湿気や雨により、汚れが錆の原因となるため、放置せずに定期的に汚れを落としておくことが大切です。
アルミニウムが錆びやすい場所
また、設置する場所によっても錆びやすくなります。例えば、給湯器の近くにアルミサッシを設置すると、給湯器の排気ガスから出る硫黄酸化物、窒素酸化物などが雨水や汚れと反応し、錆びや腐食、剥がれ落ちる原因となりやすいです。潮風なども原因となりやすいため、海沿いの地域では定期的に汚れを落とすことが腐食や錆びを防ぐ最も良い方法と言われています。海沿いの地域では腐食や錆びに強いアルミ以外の金属を使うことも必要となるため、建物を建てる前に周辺の環境をチェックして建材を決めましょう。
アルミニウムの汚れを落とす方法
汚れを落とす最も効率の良い方法としては、水洗いです。汚れは歯ブラシなど柔らかめのブラシや食器を洗うようなスポンジでこすり、水洗いをしましょう。ひどい汚れの時には食器洗い用の中性洗剤などを水に少し含ませて洗うと、よく落ちます。普段から湿気や水滴がつかないようにすることも、錆対策となるでしょう。研磨剤の入っていないワックスを伸ばして乾いた布でふき取ることも、家のお手入れの一つとして有効です。
アルミニウムが錆びるときの原因と合金の材料
アルミニウムが錆びるときの要因として、純度が100パーセントではないときが挙げられます。実は1円玉以外で純度100パーセントで使用されるアルミニウムはほとんどないと言っていいでしょう。強度を高めるために、他の金属と合金にしていることが少なくありません。合金として使用される材料はマンガンや銅、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどです。金属の種類によって強度や特性、錆びやすさなどが多少異なるため、利用するときにはあらかじめ確認をしてから使うことが望ましいでしょう。
一般的に屋根や建築用のパネルとして使われるのは、マンガンとの合金です。アルミにシリコンとマグネシウムを合わせた合金は、アルミサッシとして使われています。ボルトやナットなどの部分に使われていることも珍しくありません。亜鉛やマグネシウムを合わせた合金はアルミニウムが使用されているものの中で最も硬いとされており、建築部分に使われることは少ないですが、スマートフォンや車、飛行機の部品として使われることがあります。
錆びるときの他の原因としては、他の金属と接しているときが考えられます。建築関係ではアルミサッシのサッシ部分はアルミであっても、パーツを組み合わせているねじの大半で別の金属を使っています。他の金属と接している部分から錆びが発生し、全体に広がることが多いです。これは複数の金属が接している時、どちらかの金属のうち酸化しやすい方から錆びが発生する現象で、ガルバニック作用またはガルバニック腐食と呼ばれています。
なぜ金属は錆びるのか
金属が錆びる理由としては、酸化と呼ばれる化学反応が起きるからだと言われています。これは金属が酸素と結びつくことによって起こる現象です。空気中に放置すると自然に錆びてしまうものが少なくありません。鉄や銅などは比較的早く錆びる金属として知られています。なお、錆に強いとされているアルミニウムですが、実は錆びるのは早いです。しかし、見た目には錆びているように見えません。その理由として、見た目には全くわからない程度に薄い酸化アルミニウムの膜が覆うからです。アルミニウムの表面が酸化すると酸化アルミニウムになってアルミを覆い、内部のアルミニウムが錆びないようになっています。この性質を応用し、意図的に酸化アルミニウムで覆っている素材を使っている建設素材もあり、カーポートやアルミサッシなどに多く使われています。
表面上を酸化アルミニウム、通称アルミナが覆っているにもかかわらず他の金属と同様に錆びてしまう原因としては、塩害が挙げられます。塩の塩化物イオンが酸化アルミニウムを破壊してしまう性質を持っているため、塩化物イオンが中のアルミニウムに入り込み、錆びてしまうからです。この現象を孔食と呼び、海の近くに家がある場合に注意が必要とされています。” 錆びにくい金属は存在しているのか “完全に錆びない金属は、現在発見されている金属の中には存在しません。しかし、錆びにくい金属は複数存在しています。最も錆びにくい金属として知られるのは、金やプラチナです。王水と呼ばれる濃塩酸と濃硝酸を混ぜたものを使わない限り、酸化することはありません。ただし、これは純金や純粋なプラチナの場合です。アクセサリーなどで使用されている金やプラチナの場合、他の物質が入っているものが多いため、その部分によって変色などが起きやすくなります。18金や14金と呼ばれる金、およびpt900やpt950と呼ばれるプラチナは他の物質が入っている金属です。
対して、他の物質が入ることによって、強度を高める金属も複数存在しています。前述したように、アルミニウムはマグネシウムやマンガンと合金になることで腐食性が強化されることで有名です。また、ステンレスは鉄とクロム、ニッケルを組み合わせた合金で、システムキッチンや浴槽などで使用されるなど、他の金属では腐食や錆が出そうな場所で使っても全く問題ないと言われています。
寺社などの屋根をはじめ、塩害が予想される地域でも腐食に耐えうる建築素材として使われることが多いのがチタンですが、錆びにくいわけではありません。アルミニウムと同様、表面上を酸化チタンが覆う形となるため、表面上はともかく内部は錆びにくいのが特徴です。金属が酸化して膜のように内部の金属を守る構造を不働態被膜と呼びます。同様の特徴を持ち、建築材料として使われる金属にステンレス鋼がありますが、こちらは塩害に弱いため、注意が必要です。