寄棟屋根とは?メリット・デメリットを解説します

 

目次

寄棟屋根とはどんな屋根か

日本の住宅で切妻屋根と並んでよく見られるのが寄棟屋根です。寄棟屋根とは四つの屋根を合わせる構造になっている屋根で、住宅を四方のどちらから見ても正面に屋根の面が見えます。切妻屋根の妻側にも三角形の屋根を作り、切妻屋根では長方形だった面の屋根が両方とも台形になるのが特徴です。屋根の頂上部にある棟のことを大棟と呼び、大棟から四方に向かって軒先につながっている棟のことを下り棟と呼んでいます。

 

寄棟屋根のメリット

耐久性や耐風性、耐雪性の高さ

寄棟屋根のメリットとは “寄棟屋根のメリットとしてよく注目されているのは耐久性や耐風性、耐雪性の高さです。四つの方向に屋根が設けられていることから日照などによる建物の劣化を防ぎやすい構造になっています。切妻屋根の場合には妻側は屋根がなくて建物が無防備になってしまうため、外壁が紫外線などによる劣化を起こしやすい傾向があります。寄棟屋根では必要に応じて屋根を伸ばして外壁を守る構造にすることも可能なので、耐久性を重視した住宅デザインに仕上げることも可能です。

寄棟屋根の構造は耐風性にも優れていることから台風を代表とする暴風の影響を大きく受ける日本の風土に合っているとされています。寄棟屋根は四方のどちらから風が吹いてきても縦に伸びた面で風を受けることはありません。必ず屋根の斜めになっている面があるため、風を真っ向から受けずに、建物にかかる力を和らげることができます。一方、上からの力についても分散させる構造になっているのが寄棟屋根の魅力で、耐雪性が高いと言われているのは分散性があるからです。積もった雪が四方向に分散されていくことになるため、一部に大きな負荷がかからずに済みます。そのため、豪雪地帯ではよく選ばれている屋根の一つです。

 

斜線制限に対策できる

一方、斜線制限に対策できる点も寄棟屋根のメリットです。二方向ではなく四方向を傾斜にできるのでどの向きに家を建てたとしても、四方のどの境界線に対しても斜線制限の影響を最小限にできます。建物を建てる方向を自由にできるのは景観との調和を考える上でもメリットで、住みやすさと周囲の景観とを合わせて好きな方向に建てることが可能です。

寄棟屋根のデメリットとは

雨漏りが起こりやすいこと

寄棟屋根のデメリットは雨漏りが起こりやすいことと屋根裏が無駄になってしまいやすいことです。雨漏りが起こる場所としてよく知られているのが棟の部分で、これはどのような種類の屋根でも共通しています。屋根と屋根をつなぎ合わせている部分なので、地震でずれたりコーキングがはがれたりしてしまうことで雨漏りが発生しやすいのです。日本で一般的な切妻屋根に比べて寄棟屋根は棟が長いことから雨漏りのリスクが高いとされています。技術力が高い施工業者に依頼しないとメンテナンスを何度もしなければならないリスクもあるので注意しましょう。

屋根裏が無駄になってしまいやすいこと

屋根裏の利用については構造上仕方のない点で、寄棟屋根の構造を支えるためには梁を設けなければなりません。そのスペースを封じてしまうと湿度がこもりやすいことから換気しやすい構造にしなければならず、軒天換気口を付けることもよくあります。この部分を屋根裏収納とすることも可能ですが、形状が直方体ではないので使いにくいというのが一般的な見解です。そのため、スケルトンにしてしまって換気の心配もないようにするケースもあります。ただ、スケルトンにすると暖房効率が低下する問題もあり、どのようにして屋根の下の部分を使うかが悩みになりがちです。

なお、寄棟屋根はコスト的にも切妻屋根に比べれば高くなり、工期も長くなります。部材が多めに必要になるだけでなく、技術力を要することから工賃が上がることもあります。他の複雑な構造の屋根に比べればましではあるものの、シンプルな切妻屋根よりはデメリットになると認識しておく必要があるでしょう。