- 「『伊礼智の「小さな家」70のレシピ』という本が気になります」
- 「建築家の伊礼智さんに興味があります。詳しく知りたい」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
今回は『伊礼智の「小さな家」70のレシピ』を読んでの感想などをお伝えします。
目次
著者の伊礼智さんプロフィール
本書の著者・伊礼智さんは売れっ子住宅作家・建築家。
簡単なプロフィールとしては、1959年沖縄生まれ。琉球大学理工学部卒、東京藝術大学美術学部建築科大学院修了。丸谷博男+エーアンドエーを経て1996年に伊礼智設計室を設立。著書も多数。
一般個人の家のみならず、地域の工務店のモデルハウスの設計も手がけています。
私(編集長・竹内)が訪れたことのある伊礼智さん設計のモデルハウスとしては、長崎にある「フルマークハウス・モデルハウス」、岐阜にある「くらしこの家・モデルハウス」を記事にしています。実際には、他にも知り合いの工務店のところで何軒か伺ったことがあるのですが、かなり前なので記事にしてないです。
「小さな家」70のレシピを読んで
本書『伊礼智の「小さな家」70のレシピ』には70のレシピということで、70個のテーマでメッセージを書かれています。
70つということで、数が多いので全てはご紹介できませんが、強く共感したところを一つご紹介します。
小さくして質を上げる
伊礼智さんのメッセージの中で強く共感したものの一つが「小さくして質を上げる」というものです。
まず、本書の序盤に書かれていたことで意外だった話がありました。
日本の家は意外に広い家になっているという話です。
高度経済成長期には少しでも大きな家に住むことが豊かさの基準の一つだったように思います。もはや、日本は持ち家だけで比べるとアメリカに次いで広い家に住んでいます。
イギリスやフランス、ドイツより広い家なのです。しかし、住まいの質は良くなったのか?というと決してそうではない。
そういう観点から見ても、新築の注文住宅を建てるのであれば、一般的に考えられる広さよりも、コンパクトにして質を高めることで、同じ予算で上質な家を、快適な家を、手に入れることができると思うのです。
小さくして質を上げる
家づくりの予算は限られています。その中で質を落として少しでも広い家をつくるか、生活面積を小さくして住まいの質を上げるか?という選択があります。
僕は迷わず、質を上げることを選びます。質を上げるということは、敷地が小さいから、仕方なく小さい家を建てると考えるのではなくて、あえて小さい家に住もうという考え方を表しているように思います。
あえて小さく住まうことで、余った予算を体に良い素材に回したり、断熱性能を上げることに使ったり、外構や植栽、良い家具を揃えたりすることに当てるのもいいでしょう。
1坪分の予算があれば、永く使える質の高いダイニングテーブルと椅子や、部屋を暖め、炎を楽しむ薪ストーブをも手に入れることができるのです。不必要に広さを求めるよりも、建築の質を上げること、生活を豊かにすることに予算をかけてはいかがでしょうか?
あえて小さく住まう。
あえて小さく住まうからこそ、同じ予算でもより上質な素材にすることができます。断熱性能を高めて快適にすることができます。
外構や植栽にこだわることで、街並みをより美しいものにできます。
そういう意味でも、小さな家にはメリットが多いものです。