- 「横内敏人さんの設計・事例って、どんな感じ?」
- 「横内敏人さんの作品って、どう違うの?」
- 「『WA-HOUSE 横内敏人の住宅』って、どんな本?」
今回はこんな疑問にお答えするかたちで、横内敏人さんが著された『WA-HOUSE 横内敏人の住宅』の読書感想・ご紹介をしていきます。

目次
横内敏人さんについて
京都を拠点に設計活動をされている人気住宅建築家・横内敏人さん。
横内敏人さんについては、当サイトでも別記事にてまとめていますので、そちらをご参照ください。
読んでみて感じたこと
それは細かいディテールだったり、使う素材だったり、といったところに現れます。
その理由が本書にあります。
拠点である京都・若王子にて、ご自宅の住まいの改修(1989年)、隣にすむ義理の両親の食堂と台所の改築「若王子の家」(1992年)、仕事場であるアトリエの新築(1999年)、両親のゲストハウスの新築(2002年)というかたちで、4軒の家の設計に関わります。
母屋は150年前に茶人によって建てられた本格的な数寄屋造りの文化財ともいえる建物。その母屋の空間をじっくり体験し、ディテールをくまなく見て回り、各部の寸法を測ってはそこに隠された魅力的空間の秘訣を解き明かそうとしたそうです。
加えて、施工にあたったのは故・中村外二棟梁ということで、伝統的木造建築の大工たちとの接触が大きな影響を与えたそうです。
セミコートハウスが特徴的
横内敏人さんの設計事例で特徴的なものはやはり「セミコートハウス」になります。
セミコートハウスとは、コートハウス(四つの面を閉じている口の字型の家)とは異なり、一面を開くことでコの字型になった家のことを意味しています。
敷地的に左右に隣家が接しているため、プライバシーを確保しつつ、同時に建物が庭の景色の一部となるようなプランが多いです。
床に鉄平石貼り
また、横内敏人さんの設計で特徴的なところに素材の使い方があります。
リビングが土足で、床に鉄平石を貼っている事例が多いです。
外の部分も同じ素材・鉄平石で仕上げて、内外を一体に、つながりと開放感を感じさせる設計です。
大型ガラスのはめごろし窓(FIX窓)を使うことで、内側にいながらも、外を感じられる、外にいるかのような空間に仕上げています。
庭にもこだわりがありますね。
家具は北欧家具の名作椅子が多いですね
本書は作品集ということもあって、実際の事例写真が多いのですが、その写真のなかで散見されるのが、北欧家具の名作椅子です。
デザイナーとしては、ハンス・ウェグナーが多いですが、他にもボーエ・モーエンセンの椅子も多いですね。
いくつか、ポイントとなる椅子については下記になります。
ハンス・ウェグナーがデザインのPP68、PP66 CHINESE Chair
若王子の家のダイニングスペースにはずらっと、ハンス・ウェグナーがデザインしたPP66 CHINESE Chairが置かれています。他にも横内敏人さんはPP68がお好きなようです。
僕もPP68が好きでして、モデルハウス(自宅みたいなものですが)にも置いてあります。
ハンス・ウェグナーが好きで、デンマークにあるハンス・ウェグナーの生家やミュージアムにも行きました。
>>ハンス・ウェグナーのミュージアム記事
>>ハンス・ウェグナーの生家の記事
>>ハンス・ウェグナーについて(椅子の特集も)
ボーエ・モーエンセンがデザインしたJ39、ハンティングチェア
他にも気になる椅子としては、ボーエ・モーエンセンがデザインした椅子が散見されます。
ボーエ・モーエンセンもデンマーク生まれですから、基本は北欧デンマークのデザイン、北欧家具がお好みなのかな、と思います。僕もそうです。
J39は極めてオーソドックスなデザインでありながら、完成度が高く、簡素なつくりであり、丈夫。デザインも劣化しておらず、まさに名作椅子として有名です。
ハンティングチェアもイージーチェアとして有名です。おそらく、どこかで見かけたことがあるようなデザインだと思います。それだけ知る人ぞ知る、名作椅子です。
どちらもフレデリシア社が製造販売している北欧家具になります。

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