【伊礼智さん設計】フルマークハウス・諫早の家モデルハウスのプランや設計を徹底解剖

設計の田口です。
ママさん設計士として、でんホーム設計部メンバーとして頑張ってます。

さて、長崎県島原市にあるフルマークハウスさんの【諫早の家モデルハウス】にお邪魔してきました

1977年創業の住宅メーカーさんです。

ご兄弟で頑張られているのですが、お二人とも優しくて、ほっとさせてくれる雰囲気の方々でした。

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伊礼智氏設計、荻野寿也氏造園の諫早の家モデルハウスのプラン設定

今回見せて頂いたモデルハウスは(設計:建築家 伊礼智氏、造園:荻野寿也氏)、長崎県諫早市にある【いさはや西部台】という住宅地の一角にありました。

長い坂を下っていくと、高台に見えるひと際目を引く特徴的な建物。

異質で美しい佇まいは、そこの空間だけ時間が止まったかのようです。
その日は梅雨時にも関わらず、絶好のお天気日和でした。

こちらのモデルハウスは夫婦2名、子供2名と考えてのプラン設定。

1階に寝室、子供部屋が2部屋と、トイレと浴室。

2階はLDKと畳スペース、洗濯室になっていました。

「4人家族のプラン設定だけど、家族は4人でも5人でもいい。家族が増えたら、1階の寝室を子供部屋にして、2階の畳スペースを寝室代わりにしてもいいし、どこにでもどうにでもなると思っています」

と、笑って答えるのはフルマークハウス取締役 吉田安範さん。

ゆったりと計画出来るであろう敷地なのですが、何故か2階にリビングがあります。

福岡市やその近郊では、土地に余裕がなく、2階にしかリビングが作れないこともあります。

では、なぜ2階リビングなのか?

実際、この辺りではとても珍しいそうです。

吉田さんはこう語ります。

「子供がいるとかそう言うのは抜きにして、2階リビング面白いな、と」

設計をされた伊礼智さんにも設計をお願いする際に、2階リビングにして欲しいとお願いしたからだそうです。

2階リビングは動線が長くなる分、敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、見学して気づいたのは、家の中心に階段があることで、動線の問題が解消されていること。

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床の仕上にもこだわりを感じます。

家の中に入ると、外とのアプローチから張られている大谷石(おおやいし)が、玄関から1階ホール、更に2階に続く階段下まで繋がっています。

内装の床仕上を外と繋げることで、動線の長さを感じずに2階のキッチンまで行くことが出来ました。1階ホールに大谷石を選んだ理由は、なかなか家の中に石を張ることはないと思うので挑戦したかったそう。

土地選びから、伊礼智さんとコラボ

【諫早の家モデルハウス】は、土地から伊礼智さんに関わって頂いているそうです。

本当は違う土地を購入していたそうですが、現地に来てもらった際に、ここがいいんじゃないか?ここなら目の前に住宅も建たないし、2階リビングにするなら、景色も抜けていて絶対いい。

その助言を受けて、急遽現在の場所に変更し、伊礼智さんに提案して貰ったうちの一つが、現モデルハウスとして完成しました。

外から眺めると、伊礼色と言われる「そとん壁」に、大きな木製サッシが存在感を醸し出しています。

木製サッシ・プロファイルウインドーはこんな窓【どんなメーカー?価格は?メンテナンスは?防火窓は?】

2018.06.13

外から照明が見えるほどの大きな木製サッシは、中に入ると一気に意味を持ちます。

室内には照明は少なく、外の明かりが室内に差し込んでいました。

目線が自然と外に抜けて、遠くにある山が見えました。土地の持つポテンシャルを最大限に活かし、2階リビングならではの眺望の美しさをコンセプトに、この家は作られたそうです。

フルマークハウスさんは、こういった自然素材を多く使った経年劣化ではなく、経年美化していくような住まいを長崎に広めていきたい。とも話されていました。

伊礼智さんのこだわりが伝わる設計

伊礼智さんの設計される家は天井高さが低く、今回のモデルハウスも2.1mとなっています。

遠くから隣のお宅と見比べると、明らかに小さい。

ですが、それよりも外から見て一番気になったことがありました。

けらば先から、樋が出てる・・?

勿論、意味がない訳ではなく、天井高さとも関連する意味がありました。

天井高さを低くすることで、横に広がる建物のプロポーションを強調する狙いがあるそうです。樋を横に長めに取っているのは、そのプロポーションを更に強調する為だけで、機能的な要素は何もないのだそう。

【諫早の家モデルハウス】は遠くから眺めるだけではなく、下から眺める姿も素晴らしいです。

あとで図面を拝見して気づきましたが、小さいサッシ下でも、ピーラー(年輪の密な上級材)を使用されています。

異質で美しいと感じた佇まいは、細部まで拘ったデザインが作りだしていることを思い知らされました。

2階リビング以外のプランの見どころに、寝室に隣接したお風呂があります。

前述したように、1階に子供室と寝室、お風呂があります。

こうしたことで、2階リビングは広く取れるし、建築家として言えば、美しい建物が出来る。

伊礼智さんがおっしゃっていたそうです。

私自身は母であり主婦であるので、つい女性目線から言えば敬遠されませんか?とぶつけてみました。

お客様自身が美しいデザインを求めて来られるので逆に喜ばれないとおっしゃいました。

先程の2階リビングの動線にしても、プラン次第で解消出来ると感じたように、そういったことを言わせないだけの設計力も必要なのだな、と痛感します。

1階の寝室の床の高さが下がっているのも面白いと思いました。

伊礼智さん自身が、ここは違う用途の部屋という場合、部屋自体を切り離して考えるという意味で、こういう設計をされるそうです。

本当に勉強になります。
今後のプランにも活かしていけるように日々精進していこうと思います。

フルマークハウスさんでは、女性の方も活躍されているのですが、東京に出向き、伊礼さんと打合せをされたりもされていたそうで、とても羨ましい限りです。

モデルハウスのお気に入りのポイントを伺ってみると、大きな木製サッシ傍の【ダイニングチェアに座って見る景色】だそうです。

私も座って見ましたが、お天気が良かったこともあって、山の緑、空の青が混じり合って、素晴らしい景色になっていました。

窓が床から70㎝の高さで取付けてあるので、ちょうど椅子に座った時に、目線がサッシと同じ高さになります。

緻密な設計が行われていると感じます。

少し離れて見てみると、窓から眺める山の小景は、1枚の絵画のように美しく目を奪われました。

ここの場所なら、リビングも見渡せるし、近くの収納にすべて手が届く。何より外の景色が望めるので落ち着くと話されていました。照明も少ないけれど、それがまた夜になると、更に落ち着く空間を演出するのだそうです。

自然素材は、やはり人の心を癒す空間を作り出すのだと感じました
そんな中にも、伊礼智さんの拘りのデザインが散りばめられていました。
外観のプロポーションの為に伸ばした樋。

上記では特筆していませんが、階段笠木も独特で、下から上を望んだ時の美しさを追求した納まりになっていました。

随所に見受けられる芸術に触れ、伊礼智さん、フルマークハウスさんの熱意を存分に味わえる、至福の時間となりました。

伊礼色と言われる、伊礼智さんの特注色。
外観、内観共、落ち着いた色合い。

中に入るとその空気の清涼さに驚き、1階ホールにある大きな木製サッシは、まだ外にいるかのように錯覚させてくれます。家の中ではしっとりと落ち着いた空間が広がり、自然の中にいるような気にさせてくれました。

外は晴天。
だけど、しとしとと静かに雨が降っている気がしました・・・。

(設計:田口)

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