【ミーレ(Miele)】「ミーレ(Miele)って、どんな会社ですか?」と聞いてきた。ミーレの成り立ち、歴史、特徴など。

「ミーレ(Miele)」という会社を聞いたことがありますか?

ある人は洗濯機メーカーとして知っていることも。
ある人は掃除機メーカーとして知っていることも。

そして、注文住宅業界では高級な食器洗浄機メーカーとして知られています

「ミーレ(Miele)」は日本では高級家電メーカーとして知られているプレミアムブランドという印象です。

目次

ミーレ・ジャパン株式会社に聞いてみた

今回は『その「ミーレ(Miele)」という会社はどんな会社なのか?』というテーマで、ミーレ社100%出資の日本法人・ミーレ・ジャパン株式会社に聞いてきました。

聞いてきましたのは、ミーレ・ジャパン株式会社 マーケティング部マーケティングコミュニケーションチーム 統括マネージャーである浅沼智明様。

「ミーレ(Miele)社について」また「ミーレ(Miele)社の製品について」お話を伺ってきました。

ミーレ(Miele)社の歴史

-それでは、最初にミーレ(Miele)社の歴史についてお話を伺えますでしょうか?

浅沼智明様(以下、浅沼様):はい。

ミーレ創業:カール・ミーレとラインハルト・ツィンカン

ミーレ(Miele)社の歴史は1899年にまでさかのぼります。

1899年7月1日にカール・ミーレとラインハルト・ツィンカンの二人がクリーム分離器の製造メーカーとして創業しました

当時は農家が手作業で行っていたクリーム分離の作業を機械化させたものを販売していました。

2年目にはバター攪拌機が製品に加わり、手作業の機械化ということで、農家の負担が軽減されたそうです。

考え方としましては、一般家庭向けの機械の製造メーカーということで、当時としては後発メーカーだったみたいです。

1901年、ミーレ(Miele)としての洗濯機第1号が誕生しました。
クリーム分離器の攪拌の技術を応用したものです。

1910年、ミーレとしては最初の電気モーターを搭載した洗濯機が誕生しました。


▲「ミーレ洗濯機 150」木製の洗濯機に電動モーターを搭載した洗濯機第150号。

ミーレの経営ポリシー:無借金のファミリーカンパニー

-なるほど。

ミーレ(Miele)社は100年以上も前にミーレさんとツィンカンさんが一緒になって立ち上げた会社だったんですね。元々は手作業の機械化というコンセプトで製品をつくっていたメーカーさんだったというわけですね。

浅沼様:そうです。

ミーレ家とツィンカン家の関係、また、ファミリーカンパニーとしての経営は現在も続いています

その関係の上で、重要な出来事が1912年の自動車製造でした。

1912年、自動車製造を開始します

高い人気を得ていたそうですが、自動車製造ビジネスには大規模な投資が必要で、莫大なお金が必要とされるビジネスだったみたいです。

そのため、外部資本を入れないというポリシーに基づき、2年で撤退します。

このときから続いているポリシーとしまして、無借金経営方針であり、株式公開しない方針であり、経営の安定化を重要視するという方針です。

これらは現在も一貫して続いていまして、ファミリーカンパニーとして、カール・ミーレとラインハルト・ツィンカンのそれぞれの子孫たちが経営陣として経営に関わっています

具体的にはミーレ家とツィンカン家の2家族の直系子孫が4世代に渡り、経営陣として関わっています。

現在はマルクス・ミーレとラインハルト・ツィンカンの二人が経営者として動いています
また、株式も代々、ミーレ家が51%、ツィンカン家が49%を所有しています。

家事労働の負荷を軽減するという考えの元、イノベーティブな製品開発をしていく

-なるほど。
実に100年以上も長い期間、仲違いせずに2つのファミリーが経営しているということは珍しいですね。

規模も大きな会社ですし。
すごいです。

その後、ミーレ社としてはどのような歴史をつくっていったのでしょうか?

浅沼様:そこから1927年、ミーレの掃除機第1号が誕生します。

本体はバケツ型で継ぎ目のないスチール製でした。
この型は30年に渡って人気の座を守っていたそうです。

1929年、ヨーロッパ初となる電気式食器洗い機第1号が誕生します。
家事労働の負荷を下げるという製品ポリシーにもつながってきます。

1932年、原動機付き自転車第1号が誕生します。
それまで、自転車製造はしていましたので、その自転車に原動機を装着したものになります。

この原動機付き自転車はとりわけ、僻地の医師や森林労働者、牧師、郵便配達人の苦労を軽減することに貢献いたしました。

家事労働の負荷の軽減という考え方の元、いくつもの製品が発表されます。

そして、ミーレの食洗機へと・・・

-ほう。
様々な製品、当時としてはかなりイノベーティブな製品を次々に開発していったわけですね。

浅沼様:そうですね。

それで、住宅業界として関係が深いところでお話させていただきますと、1963年に全自動食器洗い機「ミーレG45」が発売されます。

アンダーカウンターへの設置が可能になった機種です。

キッチン周りの調理家電にも注力していくことになります。

1969年にはミーレ・オーブンNo.620が発表されまして、これはキッチン機器全般を手がけていく流れになりました。

1971年に、世界初のセラミック製ビルトインクックトップ(ビルトイン・組み込み式の加熱調理機器)を発表

1983年に、世界初のビルトインスチームクッカーを発表します。

1987年、特許技術「カトラリートレイ」が搭載された食器洗い機を発表します。
カトラリートレイはミーレ食器洗い機の代名詞となり不動の人気を築くことになります。

当時は「最上級の食器洗い」という宣伝文句で販売されました。

2段ある食器用バスケット上のその上の段でカトラリーが徹底的かつやさしく洗浄されるのがカトラリートレイになります。

2001年、ミーレ洗濯機生誕100周年の年に、蜂の巣状のレリーフを施した画期的なハニカムドラムで特許を取得します。

ハニカムドラムがあることで、水の膜をつくることができます。
そうすることで、滑るように優しく動きますから、洗濯物を傷めることなく、きれいに洗濯することが可能になります。

トータルランドリーケアという表現を使っているのですが、衣類をケアしながら、洗濯をしていくことを実現しています。

2013年、ドイツで「Generation 6000」という調理機器シリーズを発表します。

創業以来の不変の品質や耐久性に画期的なテクノロジー、そして、一貫性を究めた美しいフォルムの製品シリーズになります。

美しいフォルムで、暮らしをよくするデザイン性を追求しています。

ミーレ(Miele)の理念「Immer Besser(常により良いものを)」

-ほぅ。
そのような経緯で、現在のミーレに至るわけですね。
ありがとうございます。

ここまで、ミーレ社の歴史を追ってきましたが、その歴史には書かれていないのですが、細かい改善と高性能化を進めていくイノベーティブな企業だという印象を受けました。

大変細かいことも研究して、改善していって、より良いものにしようというような・・・

浅沼様:ありがとうございます。

ミーレ(Miele)の企業理念は「Immer Besser(常により良いものを)」
英語では「Forever Better」です。

ミーレの製品を見ていくと、常に改善、より良いものをつくろうとする意識が垣間見えるのではないかと思っています

現在、ミーレは洗濯機と掃除機、全自動食器洗い機、調理家電に生産販売をほぼ集中しています
そこに人、資本、研究開発力を集中させることで、企業理念である「Immer Besser(常により良いものを)」を貫くことができると考えています。

自社の溶鉱炉で鉄も製造

浅沼様:「Immer Besser(常により良いものを)」の具体例を申しますと、鉄も自社で製造しています。

溶鉱炉を自社で所有しているのです。

鉄の原料を調達しまして、自社の溶鉱炉で溶かして製造しています。
これも内製化することで、より品質の高い鉄を使うことができ、製品としてより品質がよくなると考えているからです。

取材を終えて・・・

ミーレ社の歴史について色々とお話を聞かせていただきました。

ミーレ(Miele)という高級ブランド家電は単純にブランドモノというイメージではない、裏付けられた品質・理念・経営方針が相まって作り上げられたものだという印象を受けました

単なるかけ声ではない企業理念「Immer Besser(常により良いものを)」。
それを実現するための経営方針。

そして、それらを実行していった歴史。
やはり100年以上もの歴史がある会社は深みのある歴史ですね。

取材協力:ミーレ・ジャパン株式会社様

https://www.miele.co.jp/

ミーレ(Miele)についてもっと詳しい情報はこちら

ミーレ(Miele)については本サイトで色々と詳しく記事にしています。

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ABOUTこの記事をかいた人

でんホーム株式会社 取締役・編集長。設計に口出し、現場を管理し、記事にも口出しする何でも屋さん。油山幼稚園→堤小→長尾中→福岡中央高→九州大学経済学部卒。2人の娘を持つ。【趣味】読書