焼杉の外壁:作り方、メリット・デメリット、事例をご紹介!

  • 「焼杉という素材を聞きました。詳しく知りたい」
  • 「焼杉の外壁がよさそうに思えます。情報がほしいです」
  • 「色々な雑誌を見て、焼杉を知りました。もっと知りたい」

この記事ではこのような疑問にお答えします。

今回の記事では「焼杉の外壁:作り方、メリット・デメリット、事例をご紹介」します!

焼杉とは文字通り「焼いた杉板」のこと


焼杉(やきすぎ)とは文字通り「焼いた杉板」のことです。杉板の表面を焼き焦がし、炭化層をつくった杉板のことです。

一部地域では伝統的な外壁材です。

表面を焼くことで炭化層をつくり、腐敗や延焼から守る意味があります。

昔は火事が起きると、周囲の家々にも燃え広がって大きな影響を与えていたという事情がありましたので、一度焼いてしまった杉板を張ることで、火災に対して対策という意味合いもあったと思われます。

昔の外壁が塗り壁(漆喰など)のパターンが多かったのも、この防火・防災の観点からメリットが多かったのでお金持ちの家はそうやって建てられたというのがありますね。お城なんかも、そうですね。一般庶民の家は板戸で、板張りな燃えやすい家が多かったですね。

神経質な性格の人にはぜったいおすすめできません

焼杉は本物の杉の木の板を焼いたものです。完全な自然素材なので、反ったり割れたり、多少の不具合とか、あいまいさはあります。

ちょっとしたキズがあったり、ムラがあったり。

そういうわけで、自然素材の家全般がそうなのですが、細かい性格の人、神経質な性格の人にはこういう素材はぜったいおすすめできません。

木材は乾燥収縮するので「動きます」。

自然のものなので同じものがひとつとしてないですし、割れたり、ちょっとしたイレギュラーはあります。

それを許容できる寛容な心がないと、単に「見た目だけよさそうだ」と思って選択された方はあとで後悔します。それは建主にとってもよくないですし、施工側の工務店・住宅会社にとってもよくないです。

なので、やめておきましょう。

焼杉の作り方


現在、焼杉の作り方としては、大きく2種類あります。

  1. バーナー焼き(メーカー品)
  2. 三角焼き

バーナー焼き(メーカー品)

焼杉の作り方として代表的なものがバーナー焼きです。
杉板の表面をバーナーで焼いた焼杉になります。

工場生産できて、大量生産できることから、このバーナー焼きが好まれています。

ただ、熱量の問題でバーナー焼きの場合は表面の炭化層が薄く、表面の素地が数年くらいで見えてしまうようです。

※バーナー焼きと三角焼きの比較実験をのちほど動画を紹介しています。

三角焼き

焼杉の作り方として、昔からの伝統的な方法が三角焼きになります。

作り方としては、杉板三枚を三角に組みます。濡らした縄で縛り、おがくずや新聞紙などの焚き付けを入れて点火。

煙突状になった三角の板の内側を燃やしていきます。十分に焼けたら、縄を解き、水をかけて冷やします。

実際に本当に三角焼きで焼杉をつくっている会社が浜松市にある株式会社fan material。
後述している施工事例の家もこの天龍焼杉を使っています。

(公式)天龍焼杉(焼杉.jp)

三角焼きの焼杉を作っている動画

実際に三角焼きで焼杉を作っている動画です。

バーナー焼きと三角焼きの比較実験動画

私(編集長・竹内)の知人である浜松の扇建築工房・鈴木さんが焼杉の「バーナー焼きと三角焼きの比較実験動画」をつくっていますので、ご紹介します。

▽焼杉を金ブラシでゴシゴシしてみた動画

焼杉のメリット


焼杉にはいくつものメリットがあります。
見た目や耐久性など。

インパクトある、印象的な風合い

焼杉の一番のメリットはその風合いです。
真っ黒で、自然素材。

そういうインパクトのある、印象的な風合いが特徴です。

日本の木を使った、森に還元できる素材

今、日本の林業は困難に立ち向かっている現状があります。

日本の杉材などは価格が安いのです。国産材が安いにもかかわらず、外国材のほうが安かったりするので、外国の木材が多く流通しています。まあ、とにかく日本の国産木材は価格が安いので、生産者(林業者)が経営が成立しないという背景があります。

このため、日本の森林を維持していくことが難しいです。現状は国からの補助金などでまかなっているような実情もあります。

そういうわけで、日本の木を使うことで、日本の林業を活性化させることが、日本の森林を健全に維持していくことにつながります

ですので、日本の木を使った焼杉を外壁やフェンスに使用することで、結果としてお金が森林・林業者に回っていくことになり、日本の森林が健全に維持できるということにつながるわけです。

森林が健全に維持されないと、山が保水力を失い、土砂崩れが起きたり、洪水が起きたりします。よくないです。

耐久性がなかなかあります

焼杉は表面を炭にしていますから、耐久性がなかなかあります
長持ちな外壁材ですね。

ごく一般的な外壁材と言えば、サイディングになります。

サイディングの場合、塗装が色あせてきますので、8-10年に一度、外壁塗装をしないといけません。加えて、継ぎ目部分にコーキングを打たないといけないので、そういう意味でも、10年に一度のメンテナンスがないと、耐久性が落ちます。見た目も劣化します。

ただ、焼杉の場合、表面の炭化層が落ち切るまでは、同じような見た目です。もし、一部のところの炭が落ちて素材そのものの木の色が出てきた場合は、そこだけ外部用の木部塗料(キシラデコールなどのような塗料)で黒を塗れば、目立たなくなります。

メンテナンスはしたほうがいいが、しなくてもなんとか

焼杉はそこまでメンテナンスが必要ない外壁材です。
実際はメンテナンスしたほうがいいです。

焼杉は時間が経ち、台風や紫外線、雨がかかることで、炭化層が削り落とされて、素地が見えます。素材の杉の板部分です。木の色です。紫外線に当たると、灰色(シルバーグレー色)になります。あまり経年変化が目立ちません。

焼杉の家は時を経ても、同じくあまり変わらない渋い、いい家です。

メンテナンスの必要な部分として代表的なのは、窓周りですね。窓周りにコーキングを打っていたりしますから、コーキング部分は8-10年くらいで劣化するので打ち替えが必要です。したほうがいいです。

価格もそこまで高くない

焼杉は想像するよりも、価格もそこまで高くありません。
もちろん、特殊な外壁材になりますから、一般的なサイディングと比較すると、高価です。ただ、そとん壁や漆喰壁などの左官の塗り壁による外壁材に比較すると、安価です。ガルバリウム鋼板よりは少し高いくらいでしょうか。

価格帯のイメージは下記の通りです。

「サイディング < 焼杉 < ガルバリウム鋼板 < 左官塗り壁外壁」

焼杉のデメリット


焼杉の外壁にはいくつかデメリットがあります。

汚れる

焼杉の最大のデメリットは誰にも言われますけれども、「触ると、黒くなる(汚れる)」ということです。

触ると手が黒くなりますし、炭がつきますから。
服に触れると、黒くなります。

ただ、炭が付着して黒いので、手を洗ったり、払い落とせば黒い炭が取れます。なので、そこまで劇的に黒くなる、汚れるというわけではありません。

ただ、まあ、触れれば黒くなりますが。

自然素材なので、反ったり割れたりする

焼杉は元々、杉板ですから、自然素材の木です。
反ったり、割れたりする可能性があります。

それで外壁材としての機能が悪くなるというわけでもないのですが、サイディングのような工業製品では精度が高く、寸法も安定していますが、自然素材はそうではないです。

細かいことを指摘したくなるような、神経質な方はおすすめできません。

一部の炭が落ちたところは塗装したほうがいい

焼杉の一部のところが炭が落ちたら、素材の木の色が見えます。
こうなった場合、それ以外が真っ黒であれば目立ちます。
真っ黒ななかに木の色(茶)が見えるわけですから。

そういう場合、正直言って機能的に問題はありません。
一部の炭が落ちただけで、全体に影響はないからです。

とは言え、せっかく注文住宅で建てたマイホーム。
我が家の見た目が悪くなるのは嫌なもの。

そういう場合は塗装をしたほうがいいです。
黒く塗ったらわからなくなります。

塗料としては浸透系の外部用木部塗料です。
具体的に言えば、キシラデコールやその同等品です。
このブラック(黒)を塗ればわからなくなります。

焼杉を外壁に使った事例

ここでは焼杉を外壁に使った事例をご紹介します。

天龍焼杉の家・七隈(福岡市)


編集長・竹内がいます福岡の工務店・でんホーム株式会社の施工事例。
玄関部分だけ、漆喰の塗り壁で白を基調としたトーンでありながらも、基本的に全面が焼杉の外壁。
黒と白のコントラストが美しい。

ラムネ温泉館(藤森照信・設計)


建築家・藤森照信さんが設計したラムネ温泉館も焼杉外壁。
焼杉と漆喰が交互に繰り返される外壁に。

【藤森照信・設計】ラムネ温泉館で建築と温泉に行ってみた

2018年10月17日

岡山の一般個人宅

岡山の個人宅の焼杉外壁

岡山県に行った際、移動中に歩いていると、一般個人宅で焼杉を外壁に張った住宅がありました。

焼杉の外壁はエリアによっては、昔から伝統的に使われている素材でもあるので、今も日常的に使われているエリアもあるようです。

焼杉をフェンスに使った事例

ここでは焼杉をフェンスに使った事例をご紹介します。

基山の家(福岡市)


これも、編集長・竹内がいます工務店・でんホーム株式会社の施工事例。
大和張りという張り方ですが、スキマを空けて表裏交互に張られるかたちです。

焼杉のインパクトがあるフェンスになっています。