- 「平屋って、どうなんですか?」
- 「注文住宅を考えてますが、平屋の家にしたいと思ってます」
- 「実際のところ、平屋の家っていいんでしょうか?」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
ゆったりとした時間が流れていそうな平屋は、2階建ての家が多い現代でも根強い人気があります。
開放的な空間が楽しめる平屋ですが、デメリットはないのでしょうか。また、平屋の家にはどんなメリットがあるのでしょうか?
そんな疑問を解決するために、記事の後半では実例をご紹介しながら平屋のメリット・デメリットに迫ってみたいと思います。「こんなはずじゃなかった」と、建ててから後悔しないためにもぜひ最後までおつきあいください。
目次
平屋の家とは「1階建て・ワンフロアの住宅」
平屋を改めてご説明するほどではないと思いますが、念のためにお伝えしておくと、平屋の家とは「1階建てのワンフロア住宅」ということになります。
マンションやアパートでの生活を想像していただければわかりやすいのかもしれませんね。玄関から居間、寝室などの個室すべてがひとつのフロアに収まっている家を平屋といいます。
「土地さえ広ければ、平屋を建てたかった」とおっしゃるお客様が多いことから、平屋への憧れが根強く、なじみの深い家だということがわかりますね。
平屋は設計の自由度やデザイン性が高いことから、昔ながらの古風な造りやモダンな造りが楽しめるという一面もあります。
また、広い土地が必要なイメージのある平屋ですが、現在は核家族が増えたり、一世帯あたりの人数が減ってきたりしています。
そのため、必要な部屋数や必要なスペースが少なくなっているため、必ずしも広い土地が必要だとはいえず、設計の段階で「土地が狭くても思っていた以上のモノが建てられた」と感じる方も多いです。
平屋のメリット
では次に、平屋のメリットについてお伝えしていきましょう。
ワンフロアなので、上下に移動しなくていい
一般的な2階建ての家は、1階にリビング、2階に寝室や子供部屋といった設計が多いのですが、平屋ではすべての部屋が1階のワンフロアに集約されているため、上下の移動が不要です。そのため、動線が短くなり移動が楽になるのです。
都会の狭小住宅では、2階リビングを設置する家がときどきあります。仕事から帰ってきてリビングでくつろぐには、階段を上がって2階に移動しなければなりません。
また、買い物をしても重い荷物を持って2階に移動するなど、上下の移動が必要になります。
平屋ならすべてワンフロア内で済みます。
家事の負担が減る
平屋は上下運動がないとお伝えしましたが、それは家事の負担を考える上でもメリットといえます。
一般的な2階建ての家は、お風呂場や脱衣所は1階に設置して、洗濯物を干すのは2階のベランダで……というタイプのものがほとんどではないでしょうか。
洗濯物は水分を含みますのでとても重く感じられます。特にジーンズや大きなシーツなどは重いため、腕や腰が痛くなりがちです。
平屋なら、洗濯物を干すのも同じフロアですので楽に干せますよね。
他にも、掃除機をかけるときにも2階建ては大変です。
最近はスティック型の掃除機やコードレスタイプの掃除機も販売されていますが、それでもやはり数キロの掃除機本体を持って2階へ移動することに変わりはありません。
平屋なら、掃除機を抱えて移動しなくてもいいのでとても楽に感じられるでしょう。
年をとっても、楽に暮らせる
上下の移動がない平屋は、お年寄りにも優しい家といえます。
年を取るとどうしても膝や腰に負担がかかり、曲げたり伸ばしたりするのが苦痛になります。2階にある寝室へ移動するのにも大変な思いをすることでしょう。
そのうえ、家事は年をとってもしなければなりません。
2階へ洗濯物を干しに上がったり、掃除機をかけたりすると、ただでさえつらい足腰にさらに負担がかかります。
家を建てるのは、まだ体が健康な若い世代ですので、自分の体が年老いて動きにくくなるというのは想像しにくいものではあります。
けれども、人間に限らずどんな動物も年を取ると体は老化し、思うようには動かなくなるものなのです。
年を取ると「平屋での暮らしが楽だ」ということを実感するでしょう。
平屋のデメリット
体への負担が少ない平屋のメリットをいくつか見てきましたが、ここからは平屋のデメリットも見ていくことにしましょう。
価格が高くなりがち
2階建てと平屋を比較すると、平屋の方が建築費は高くなりがちです。
たとえば、50坪の土地に平屋を建てた場合、2階建てと同じだけ床面積が必要だとすると、基礎工事の面積は平屋の方が広くなり、その分価格が高くなります。
また、平屋は2階建てよりも屋根が大きくなるため、やはり価格が高くなってしまいます。
ただ、平屋の場合は、2階に必要だったトイレや洗面所、階段が不要になるなど、予算を削減できる要素がありますが、やはり基礎工事や屋根が大きくなってしまった金額を埋めるほどではないため、平屋は価格が高くなるという傾向は否めません。
周辺環境しだいではプライバシーの確保が難しいことも
平屋の家は、意外と採光の確保が難しくなります。
建築面積が広くなればなるほど、建物の中心部には太陽の光が入りにくくなり、薄暗くなってしまうのです。
採光を取り入れたり、または開放的な空間を維持したりするために大きな窓を採用すると、周辺の環境によってはプライバシーの確保が難しくなることも考えられます。
平屋は1階部分しかないために、どうしても周辺の環境の影響を受けやすいといえるでしょう。
また、平屋では、2階建てのようにリビングと個室が完全に独立していない場合が多いため、家族間のプライバシーを確保するのも難しいといえます。
逆にいえば、家族とのコミュニケーションを取れるというメリットはあります。家族間のプライバシーを確保したい場合は、廊下を設置する、リビングと個室を離すなどの対策が必要となります。
広い土地が必要になる
平屋は1階ですべての建築面積になりますから、相応に広い土地が必要になります。
敷地的にやっぱり、建ぺい率・容積率という建築基準法で建てられる住宅のサイズって決まっています。ですから、法的に平屋を建てようと考えたら、敷地広くないと厳しいです。
駐車場の台数も多ければ多いほど広さが必要になります。
土地の価格が高いところ、都心部とか東京とか関東とか横浜とか、非常に地価が高いところだと、なかなか平屋は難しいことが多いです。土地代が非常に高くなりますから。
もともと、広い敷地を持っている場合や、予算が潤沢にある場合は例外として、広い土地が予算内に取得できるエリアを選択しないといけないかもしれません。
平屋のお金の話。建築費用と維持費
ここでは、平屋のお金の話について解説していきます。
具体的には建築費用や維持費についての話になります。
建築費ベースでは同じ広さで「2階建(総2階)<平屋<3階建」
木造住宅で何が一番コストパフォーマンス高いかっていうと2階建てで、しかも総2階建というタイプになります。
総2階建は1階の床面積と2階の床面積が同じもので、1階が15坪、2階が15坪というイメージです。すると一番コストパフォーマンスが高くなります。
平屋だと、そこから屋根と基礎が増えていきます。
それよりもっと高いのは3階建てで33平方メートル、33平方メートル、33平方メートルって建てるのが意外にコスト高いです。それは構造計算とか基礎や構造の補強とかが必要になるからです。
平屋は2階建より床面積を減らすことが可能
平屋は2階建より床面積を減らすことが可能です。
2階建には階段が床面積に含まれていますし、また、ホールといわれる部分にも床面積が必要です。
ざっくり2-3坪かなって思うんですけど、2-3坪ってちっちゃいなあって思うかもしれないんですけど、2坪で坪単価50万だったとしたら、100万円です。3坪で150万円です。
坪単価60万だったら2坪で120万円、3坪で180万円になります。
結構な金額100万-180万円ぐらい動いてしまうので、この金額を屋根面積と基礎面積が広がる分の割高部分を、その分、建築面積をコンパクトにすることができるので、かなりそこで相殺をある程度できるんじゃないかなと思います。
なので、劇的にコストが上がるわけではなくて、建築面積を減らすことによって、2階建てで30坪の家が平屋だったら28坪とか27坪になって、快適性に関しては同じくらいの床面積というか、居住面積が得られることになります。
平屋は長期的なメンテナンスコストがかなり安くすむ
平屋は長期的なメンテナンスコストがかなり安くすむ傾向にあります。
平屋は1階建なので、足場をガッツリ立てる必要がなくて、メンテナンスできることが多いです。2階建も足場必要ですし、3階建だともっと大きな足場をきっちり組まないと外壁面とか屋根面とかのメンテナンスできません。
平屋は1階建なので、足場が簡易なものですむ場合があります。
足場の差額が1回あたり30万円の差であれば、35年間で6回メンテナンスする必要があったとして、180万円も足場代だけでコスト差が出ます。
それの積み重ねで、メンテナンスコストも安くすむことが多いです。
メンテナンス頻度が高ければ、状態もよく長持ちできますし、快適に過ごせますし、そして、ライフサイクル的にもコストが安くすむのでお得かなって思います。
老後のリフォームが不要なので、超長期で見ればお金のメリット大きい
あとは老後のリフォームが不要になります。
老後のリフォームというのは、具体的には1階部分のバリアフリー化、スロープ化や1階部分の増築、2階の減築といったところです。
平屋であれば、最終的にワンフロアで普通に上下の上り下りがなくてすみますから、老後も長く暮らすことができます。
平屋の間取り
これまで平屋のメリット・デメリットを見てきましたが、では平屋にはどのような間取りがいいのでしょうか。
家族構成や周辺の環境によって気をつけなければならない点はありますが、平面的な平屋では、自然と機能的な間取りになることがほとんどです。
平屋の間取りを考える上で、いくつかポイントがありますのでお伝えしておきましょう。
メリットでご説明したように、平屋は上下運動がないため楽に移動できますが、その分、家事の動線を重視することはとても大切です。
平屋の場合、各部屋の出入り口は2方向あると動きやすくなります。
たとえば、キッチンに入るときはグルッと回れるような造りになっていると、キッチンの入り口で渋滞が起こることがありません。
また、年を取ると寝室とトイレの距離は近い方が安心するのですが、バスルームやキッチンなどの他の水回りは、なるべく寝室から離しておくと就寝時に水の音が気になりません。
デメリットでもご説明しましたが、平屋は意外と家の中心部に太陽光が届きにくいものです。
そのため、少し費用は高くなりますが中庭を設けたり、天窓を取り入れたりして意識的に光を取り入れる間取りがオススメです。
さらに、来客が多いご家庭では、リビングやトイレの位置にも気をつけておきましょう。
生活の場であるリビングを通らなくても済むよう、玄関からすぐにの位置に客間を作るなどの工夫が必要です。