DIYが好きな人はよく聞く「合板」「ベニヤ」「コンパネ」という名称。
ホームセンターではたくさんのこうした「板」がたくさん売られていますが、それぞれどう違うのかご存知でしょうか。
実はそれぞれがまったく違う「板」なのです。
そこで今回は、「合板」「ベニヤ」「コンパネ」の違いや特徴などを詳しくお伝えしていきましょう。
目次
合板とは薄く切った板を接着した板のこと
合板とは、丸太をかつらむきにした薄い板を、木の繊維が交互になるよう接着剤で張り合わせたものを合板と呼びます。
薄い板を重ねていますので、断面を見ると「層」になっているのがわかります。
ちなみに、合板は「ごうはん」と呼び「ごうばん」ではありません。
厚さ・サイズが豊富
合板は、厚さやサイズが豊富で、広い面積を得られるのが特徴です。
基本的には「サブロクサイズ」と呼ばれる910㎜×1,820㎜(3尺×6尺)がもっとも多く利用されていますが、他にも1,220㎜×2,430㎜のものもあります。厚さは単板の枚数によって違い、約2.5㎜から30㎜を超えるものまで幅広いのが特徴です。
無垢材より価格が安く、大きな板を製作できる
無垢材は、一本の丸太からそのまま切り出された木材ですので、非常に高価なものなのですが、合板はそれより安価で買い求めやすくなっています。ただ、サイズや厚みによって価格は異なります。
接着剤によって分類
合板は、木を接着する際に利用されている接着剤によって「特類」「1類」「2類」「3類」の4つに分類されています。
特類 : フェノール樹脂接着剤
特類は、屋外などの常に湿度の高い状態となる場所で使われます。
また、特類にはフェノール樹脂接着剤が使用されており、この4つの分類のなかではもっとも耐水性耐熱性に優れています。ただ、赤褐色をしていますので、接着面が赤くなってしまうのが欠点ではあります。
1類 : メラミン樹脂接着剤
1類は、特類を使用するほどではない湿度の高い状態となる場所で使用され、メラミン樹脂接着剤を使用しています。
メラミン樹脂接着剤は特類のフェノール樹脂接着剤より劣りますが耐水性、耐熱性、耐老化性に優れています。保存性が悪く高価な接着剤のため他の接着剤を組み合わせて使用する場合が多いようです。
2類 : ユリア樹脂接着剤
2類は、時々湿潤状態となる場所で使用されています。
また、2類はユリア樹脂接着剤を使用しています。フェノール樹脂接着剤やメラミン樹脂接着剤と比較すると耐水性が劣りますが、尿素(ユリア)を原料に作られているため、安価であることが特徴です。
3類 : 増量ユリア樹脂接着剤、カゼイングルー
カゼイングルーは合板が作られた当初は利用されていましたが、これまでご紹介したユリア樹脂接着剤フェノール樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤の登場により使用されなくなりました。合わせて増量ユリア樹脂接着剤も現在では使用されていません。
合板の種類
では次に、合板の種類をご紹介していきましょう。
ベニヤ板
ベニヤ板は、丸太をかつらむきにした薄い板のことをいいます。
接着剤などで貼り合わせていない単なる一枚の薄い板がベニヤ板です。大きさは910㎜×1,820㎜がもっとも良く使われますが、厚みは2.5mm~30mmと幅広くあります。
合板
先ほどのベニヤ板を、接着剤で貼り合わせたものが合板です。
通常は奇数の板を、繊維が交互になるように貼り合わせていきます。用途や木材の種類によって呼び名は変わりますが、合板と呼ばれるものは、すべてこの構造になります。
コンパネ(コンクリートパネル)
コンクリートパネルを略してコンパネと呼ばれています。
住宅の基礎を作る際など、コンクリートを流し込む型枠として使われるものをコンパネといいます。
一般的な合板は、910㎜×1,820㎜のものがほとんどですが、コンパネは型枠用として12㎜×600㎜×1,800㎜のものが多く販売されています。
コンパネは水分を含んだコンクリートを流し込むため、耐水性が高いのが特徴です。また、基礎が固まった後、コンクリートからコンパネを剥がす際に簡単に剥がれて繰り返し利用できるように、剥離剤が塗られているものもあります。
構造用合板
住宅の床や壁、屋根の下地に使われるものが構造用合板です。
コンパネは型枠として使用した後は剥がしてしまいますが、構造用合板は住宅の下地として使われますので、構造上耐力上重要な部位に使用され、ホルムアルデヒドの放散量や強度、接着剤の性能、表面材の品質などがJAS規格(日本農林規格)で厳しく定められています。JAS規格に適合している構造用合板は、板にスタンプが押印されています。
普通合板
普通合板は、コンパネでもなく、構造用でもない一般的な用途に使われる合板のことです。
単板であるベニヤ板に比べると耐水性に優れ強度も高いため、DIYの素材としてよく使われています。原木の名前でそのまま「ラワン合板」「シナ合板」と呼ばれることもあります。
合板の樹種
では、合板に使われる木の種類「樹種」についても見ておきましょう。
ラワン合板
ラワンは、広葉樹の一種でフィリピンやマレーシアに自生する木です。
柔らかいため加工がしやすいのが特徴で、大きく分けるとホワイトラワンとレッドラワンに分けられます。合板のほか、家具にもよく使われています。
シナ合板
シナ(シナノキ)は落葉広葉樹です。
北海道や本州、四国など日本に多く自生しています。シナは曲げに強く、軽いという特徴があります。合板のほか、アイスクリームのヘラにも使われています。
針葉樹合板
広葉樹に対して、針葉樹で作られた合板のことを針葉樹合板といいます。
国産材ではカラマツやエゾマツ、スギなどが使われています。外材では米マツ、米ツガ、スプルース、カラマツがあります。
環境の観点から広葉樹より針葉樹を使うべきという指向が強まっており、近年は日本の住宅でも針葉樹合板が多く使われるようになっています。
針葉樹合板には独特の模様があります。
いわゆる板目や節と呼ばれるものがありますので、なめらかさでは広葉樹に劣ります。けれども、この模様に魅力を感じて、壁や天井を針葉樹合板で仕上げる施主様もいらっしゃいます。
ヒノキ合板
言わずと知れた高級木材、ヒノキを使った合板です。
ヒノキは日本特産の樹種で、本州や四国、九州に分布しており、お風呂でも使用されるほどの耐湿性と、耐水性を兼ね備えています。また、狂いが少なく加工しやすいのもヒノキ合板の特徴です。
OSB合板
OSB合板は「Oriented Strand Board」の略で、木片を集めた固めた板のことをいいます。
非常に固く加工がしやすい特徴があり、表面に独特の模様がありますので、DIYが好きな方の中にはこのOSB合板のファンがいるほどです。欧米では2×4建築の壁材として使用されています。