- 「住宅瑕疵担保責任保険って聞いたことあるけど、詳しく知りたい」
- 「瑕疵担保保険っていうフレーズを聞いたけど、どんなものですか?」
- 「新築戸建を建てるけど、欠陥住宅になるのがこわい。不安」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
今回の記事では「住宅瑕疵担保責任保険とは?新築住宅の欠陥への保険。安心の制度(加入義務あり)」についてお話ししていきます。
目次
住宅瑕疵担保責任保険とは?
住宅瑕疵担保責任保険とは「住宅の瑕疵(欠陥)」を「担保する責任をカバーする保険」のことです。
ちょっとわかりづらいので、わかりやすくお伝えします。
新築住宅を建てるのに、大金が必要になります。
一生にそうない金額を使って、家を建てます。
ただ、そんな気持ちで、新築住宅を建てる場合、どこかに欠陥(瑕疵)が合った場合、どうなるでしょうか?
その欠陥(瑕疵)を補償してもらえるのか不安です。
そういう場合に備えて、日本では新築住宅を建築・供給する事業者には住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務付けられています。
そのため、万一、建築した住宅に欠陥(瑕疵)があったとしても、住宅瑕疵担保責任保険の適用範囲であれば、保険金がおりまして、補償してもらうことができます。
これが住宅瑕疵担保責任保険の概要となります。
住宅瑕疵担保責任保険には加入が義務化
この住宅瑕疵担保責任保険は法律に基づいて確立されたものになります。
特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)により、平成21年10月1日より新築住宅を引き渡す建設業者および、宅建業者(売主等)には、瑕疵担保責任を確実に履行するために保険または供託による資力確保措置が義務付けられています。
義務付けの対象となる住宅は?
住宅瑕疵担保履行法に基づく「新築住宅」であれば、対象になります。
規模、階数、構造等の制限はありません。
新築の戸建住宅・注文住宅はもちろんのこと、建売住宅・分譲住宅、分譲マンション、賃貸住宅、賃貸アパートなども対象になります。
ちなみに新築住宅とは、建設工事の完了の日から1年以内のもので、人が住んだことのない住宅をいいます。
義務付けの対象者は?
義務づけの対象者は「新築住宅の建設を請け負う建設業法の許可を受けた建設業者」「新築住宅を販売する宅地建物取引業法の免許を受けた宅地建物取引業者」です。
注文住宅の場合は請負人としての立場を持つ、工務店やハウスメーカー、住宅会社がその対象者に該当します。
住宅瑕疵担保責任とはどのような範囲か?
実際にどのような瑕疵(欠陥)が住宅瑕疵担保責任の範囲に該当するかということを細かく見ていきます。
基本的には2つの部分が範囲になります。
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の浸入を防止する部分
基本的に、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に定められた構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に関する10年間の瑕疵担保責任を範囲としています。
構造耐力上主要な部分とは?
構造耐力上主要な部分とは、具体的には下から「基礎」「土台」「床版」「柱」「横架材」「壁」「斜材」「屋根版」「小屋組」の部分になります。
これらが欠陥(瑕疵)の範囲になります。
雨水の浸入を防止する部分とは?
雨水の浸入を防止する部分とは具体的には「屋根」「開口部(窓)」「外壁」になります。
これらが欠陥(瑕疵)の範囲になります。
なぜ、瑕疵担保保険制度ができたのですか?
瑕疵担保保険制度ができたのは「新築住宅を安心して取得することができるように」という考えからです。
法律的には新築住宅を取得した後、欠陥(瑕疵)があった場合、事業者側に補修を請求するなどができます。
ただ、事業者側が倒産していたり、資力がない場合、補修がなされないことになります。
そういう状況では安心して新築住宅を取得することができません。
そこで、事業者側が倒産していたり、資力がなかったとしても、住宅取得者が補修などの請求がきちんとできるように住宅瑕疵担保責任保険ができたのです。
保険でカバーすることによって、安心して新築住宅を取得することができるようになります。
もし、新築住宅で欠陥(瑕疵)が見つかったら?
もし、新築住宅で欠陥(瑕疵)が見つかった場合、発注者(建築主・建主)が修補等を請負業者(建築会社)に依頼・請求します。
その後、請負業者(建築会社)が修補等を行い、欠陥(瑕疵)を修理します。
そして、請負業者(建築会社)が住宅瑕疵担保責任保険法人に保険金を請求して、保険金の支払いを受け取ることになります。
事業者が倒産してしまっていた場合
前述の流れで、新築住宅で欠陥(瑕疵)が見つかったけれども、事業者・請負業者(建築会社)が倒産してしまっていた場合など、修補等が行えない場合、どうなるでしょうか?
その場合は発注者(建築主・建主)が住宅瑕疵担保責任保険法人に対して、瑕疵の修補等にかかる費用を直接請求することができます。
実際、新築住宅ではどんな欠陥(瑕疵)のリスクがあるのですか?
ここまで、新築住宅に欠陥(瑕疵)があった場合でも、修補等を受けることができ、安心して住宅を取得することができるという話をしてきました。
では、実際のところ、新築住宅ではどんな欠陥(瑕疵)のリスクがあるのでしょうか?
新築住宅(新築戸建)の場合、約9割が雨漏り事故となっています。
住宅瑕疵保険の保険事故データ(住宅あんしん保証調べ)
以下は住宅瑕疵担保責任保険法人の株式会社 住宅あんしん保証による調べでわかった「保険事故発生割合」と「部分別 保険事故発生割合」のデータです。
※株式会社 住宅あんしん保証(住宅瑕疵担保責任保険法人)公式サイト【外部リンク】
保険事故発生割合
新築住宅の瑕疵担保責任保険の範囲は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の2つに分けられます。
このうち、実際の事故発生のリスクとしては下記の通り、89.5%が雨水、つまり、雨漏り事故となっています。
- 雨水:89.5%
- 構造:10.5%
部分別 保険事故発生割合
また、雨漏り事故発生割合の内訳を見てみると「屋根」と「外壁」で約7割。
ここがきちんと施工されているかどうかが、欠陥(瑕疵)のある住宅かどうかの差になってきます。
- 屋根:40.3%
- 外壁:32.1%
- 開口部(窓など):15.1%
- バルコニー:12.5%
まとめ
このように住宅瑕疵担保責任保険について詳しく見てきました。
欠陥(瑕疵)といっても、一括りに言える話ではありません。
なぜならば、単純なかたちをした新築注文住宅であれば、欠陥(瑕疵)のリスクは低いと言えます。
一方で、世間ではそんな家ばかりではなく、特殊なかたちをした新築注文住宅もあれば、奇抜なかたちをした新築注文住宅もあります。変なかたちをした新築注文住宅もあります。
どれも一括りにすれば新築注文住宅なのですが、欠陥(瑕疵)リスクについていえば、特殊なかたち、奇抜なかたち、変なかたちであればあるほどリスクは高まります。
なので、欠陥(瑕疵)という話をざっくりとまとめることは難しいのですが、今回はわかりやすく、どのような欠陥(瑕疵)リスクがあって、住宅瑕疵担保責任保険とはどのようなものなのかについてお話ししてきました。
全体を通してお伝えしたいことは「住宅取得者が安心して新築住宅を取得できるための制度」であるということです。
安くはないお金を支払って新築住宅を取得することになります。
この住宅瑕疵担保責任保険という制度を活用して、安心して新築住宅を取得していただければと思います。