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耐震基準とは「地震に耐える能力の建築的な基準」のこと
耐震基準とは、建築物や土木構造物を設計する際に、設計前の段階から最低限度の耐震能力を持っていることを保証し建築を許可する基準、つまり、地震に耐える能力の建築的な基準のことです。
耐震基準の特徴は、建物の倒壊は中にいる人に危険が及ぶだけでなく外にいる人も倒壊のがれきが邪魔をして避難を遅らせる2次被害を起こしてしまいます。そこで内外にいる人の命の保証をするために、これまでに起きた地震の特徴を改めておさらいして基準を作ります。
その基準をもとに、各住宅メーカーが揺れに対応できる技術を作成して家を建てることで震度5以上の地震が起きても安心して過ごせる環境づくりをするのが耐震基準の目的です。
日本に耐震基準が存在する理由は「建物に重大なダメージを与える地震があるから」
1995年に起きた阪神淡路大震災や2011年に起きた東日本大震災が起きた背景の一つに挙げられるのが、日本という国は地震の発生原因とされる大小問わずに活断層が存在していることです。
これらの地震の共通点として、建物に重大なダメージを与える震度6以上の揺れが起きました。
この震度6以上の地震リスクは日本に住む限り避けられないことなので、そこで大型の地震が起きても安心して過ごせる環境づくりのために国と住宅業界が共同で考案されたのが耐震基準になります。
耐震基準の歴史
実は耐震基準は新しい言葉のように思えますが、その歴史はとても古いです。
阪神淡路大震災や東北の震災だけでなく、平成以前の歴史でも日本は震度5以上の地震はたびたび起きて人々の生活に影響を与えています。
その歴史を踏まえて1920年代に、日本で初めて耐震基準の前身といわれる市街地建築物法ができました。
ただ出来たばかりの法案は耐震については記載されておらず、設計図をしっかりすることで簡単に倒壊しないための構造基準だけ定められる形になっています。
その構造基準だけの市街地建築物法が変わったのが、作成されてから4年後の1924年です。
構造基準だけでは地震に対応できないことから佐野利器が提唱した設計震度が組み込まれます。そして大正から昭和に移ると、設計技術の進歩により大正の基準では適合しないことから市街地建築物法が廃止され新しく建築基準法が出来上がります。
建築基準法は技術の進歩によってこれまでの考えを一新し、床面積に応じて必要な筋違等を入れる壁量規定の実施や外壁の強度アップそして防火の重要性が見直されることで新しく規定されます。これらの基準によって、大正時代に比べて格段に住宅の安全性は向上します。この建築基準法は、その後細かい改定が行われ、現在まで続くことになるのです。
阪神淡路大震災が耐震基準に与えた影響は大きい
この昭和に始まった建築基準法が大幅改定されたのが、1990年に起きた阪神淡路大震災になります。
この地震によって、古い一軒家だけでなく昭和の基準で作った大型のコンクリートビルが次々と倒壊し沢山の人命を脅かす結果になったのです。
なぜ昭和の基準で作った建物が次々と倒壊したのかというと、従来の基準で震度5以上に耐えられるルールで作っていたためです。
大正や昭和の技術では実際に起きた地震の揺れがどれほどの力なのか計測する能力がなかったため、本当の震度5以上の地震が起きた時に昭和の基準では耐えられなかったのが理由になります。
この地震を契機に揺れの計測技術が進歩し、昭和になってからの建物は震度5以上の地震に耐えられないことがわかり今後同じ地震が起きても耐えられるように新しく作り替えられます。
2000年代に入ってからは、実際の地震に耐えられるのかを測るために人工的に地震の揺れを再現する技術が作られています。
その人工的に地震の揺れを再現する技術の上に、一定の建築ルールに則った家を仮建築して揺れを起こし状態を見ます。そこで揺れが起きても家の状態に違和感がなければ、それは安心の基準に適合されているとされ建築することを認可されるという流れになっているのです。
さらに昭和以前の建物でも、補強技術が進歩したことで耐震基準と適合させることで倒壊のリスクを減らせるようになっています。