台所といえば、キッチンというか、炊事場というか。
一般的なイメージがあるかと思います。
ただ、そのようななかでも・・・
- 「台所の語源って、どういうもの？」
- 「台所の歴史や流れを知りたい」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
目次
日本の台所の歴史と名称の由来
台所とは、どの家庭でも欠かすことができないキッチンや炊事場と呼ばれている部屋を指すことは言うまでもありません。
語源は平安時代の「台盤所」に由来します。
「台盤所」の「盤」とは料理を盛る皿のことで「台盤」は盤を乗せる脚付きの机を意味します。「台盤所」は「台盤」を置いて料理のために使っていた部屋のことです。「台盤所」を設置していたのは皇室や貴族など上流階級の家だけでした。
「台盤所」はやがて鎌倉時代あたりから盤が省略されて台所と呼ばれるようになり、武家や農家でもかまどを据えて調理をする場所を台所と言うようになったという説が有力です。
また、「台」そのものが食材や料理を指すという説もあり、台を調理する場所として台所という名前がついたと言われています。
煮炊きのできるかまどや囲炉裏があれば台所として認められており、現代のような水道設備がなかった時代には流し台を併設することは不可能でした。食材や食器の洗浄は近所の井戸や川まで行って行わなければならなかったのです。
伝統的な日本家屋では、かまどを置く土間と七輪や囲炉裏を設置する床上の両方で煮炊きを行っていました。薪や炭を燃料とするため煤煙が室内に充満し、住人も常に煤煙に曝されざるを得ないという短所もありました。
食生活は家計そのものであったことから、台所は調理する場所だけでなく家計を指すようになっています。そこで「台所事情は決して楽なものではなかった」などと台所が家庭の経済状態を意味することもあるのです。
西洋の台所の歴史
西洋でも台所の歴史は古く、薪や炭を使った煮炊きが行われるようになる頃から定住型の民族では室内に台所が設けられる家屋が現れました。
一方、遊牧民族はかまどや囲炉裏を構えることができないので、台所の普及は大幅に遅れることになります。
ローマ帝国や近代の台所（キッチン）
早くから水道の普及に成功した古代ローマ帝国では台所の発達も早かったと言われています。水洗いをする場所には排水設備が不可欠で、排水を行う上で防湿効果の高い土間が西洋でも重宝されました。
ただし、ローマ以外の地域では水道設備の普及が遅れ、日本と同様に川や井戸で食材や食器の洗浄を行う時代が長く続いたのです。栄耀栄華を極めたローマ帝国も、水道管に鉛を使用したことから鉛中毒が蔓延するなどの弊害が生じました。
近代になって本格的に台所の改善に取り組んだのはドイツのキッチンメーカーで、ビルトインキッチンの開発を手がけ世界で高いシェアを誇るようになっています。狭い集合住宅のために創られたフランクフルトキッチンは、効率的に空間を利用しシステムキッチンの先駆けとなりました。
現代の台所の特徴
現代の台所は、水道のある流し台・コンロやIHなどの加熱調理器・換気扇などを備え、作業台や収納庫が機能的に配置されているものが普及しています。
主婦に人気があるシステムキッチンは、ビルトインコンロを備えて流し台と調理台が一続きに並べられ一体感のある機能的な構造になっています。システムキッチンには様々な形態があります。最もシンプルなシステムキッチンはI型と呼ばれ、コンロ・流し台・作業台が1列に横並びとなっている基本的な形態です。
単身用のアパートなどはこの形態が多いと言えるでしょう。これに対してL型は部屋のコーナーを生かしたタイプでI型より作業空間が広くなります。
台所はその形態だけでなく、ダイニングルームとの位置関係にもこだわるようになりました。
従来は煮炊きの臭いを遮断して独立性を保持する独立型キッチンが主流でしたが、カフェのようにキッチンとダイニングルームが繋がっていて調理者が家族と対面して調理できる対面式キッチンも人気があります。
さらに、ダイニングテーブルとキッチンの作業台が一体化し広い机上で家族がみんな一緒に調理と食事ができるオープンキッチンも珍しくありません。
トーヨーキッチンスタイル
