外張断熱工法(外断熱)とは?特徴やメリット・デメリットを解説!

目次

外張断熱工法(外断熱)とは?

外張断熱工法(外断熱)とは住宅を建築するときに、住居の構造体全体を柱の外側からすっぽりと断熱材で囲むようにして包んで断熱する工法です。

断熱工法にはもう一つ、柱の間を断熱材で充填する充填断熱工法(内断熱)と呼ばれる工法があり、従来はこちらがよく使われていました。現在では鉄筋コンクリート造の住宅では外張断熱工法(外断熱)が多く採用され、木造住宅では両方の工法が使われています。

どちらの工法にもメリット・デメリットがあるので、検討の余地があります。

外張断熱工法(外断熱)の特徴


外張断熱工法(外断熱)の特徴は柱を含む住宅の躯体を全て断熱材で覆うことです。

これは柱と柱の間に断熱材を充填する方法がとれない鉄筋コンクリート造の住宅で使われてきた工法ですが、一般的に断熱効果が充填断熱工法より高いので、木造住宅にも使われるようになりました。

断熱材としては発泡プラスチック系のボードが主に使用されます。具体的には押出法ポリスチレンフォーム(XPS)ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)フェノールフォームといった断熱材になります。

より具体的な名前を挙げれば「ネオマフォーム」「フェノバボード」「スタイロフォーム」「カネライトフォーム」「ミラフォーム」といったところがメジャーです。

連続して覆うことができるので、ボード状の断熱材が効率よく使えます。これらの素材は発泡プラスチックの気泡が断熱効果を持ち、軽量で水や湿気に強く、シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドを含みません。基礎部分の断熱は屋外側か床下側で行ないます。

木造住宅における外張断熱工法(外断熱)の問題点

木造住宅に使われるようになってから、鉄筋コンクリート造の住宅では起こらなかった問題も指摘されています。

構造上、外壁と断熱材を建物の構造体に留める形になるので、地震により外壁が崩れる可能性があります

また、基礎部分で断熱を行なった場合、シロアリ被害が起こりやすいことが分かり、現在ではシロアリ対策も同時に行なうことが推奨されています

外張断熱工法(外断熱)のメリット

ここでは外張断熱工法(外断熱)のメリットについて解説します。

比較的容易に気密を取ることができる(施工が容易)

外張断熱工法(外断熱)は建物の構造を外から断熱材で覆う形で施工します。そのため、比較的容易に施工することができます。これは比較的容易に気密を取ることができる、という意味でもあります。

実際、外張断熱工法(外断熱)の施工ではボード状断熱材の継ぎ目は気密テープでテープしますから、そこも気密性を高める要因になります
簡単に施工ができるというわけです。

配線がしやすい

これはプロ的な目線なのですが、外張断熱工法(外断熱)の場合、配線がしやすいです。

充填断熱工法(内断熱)の場合、壁の中に断熱材がありますから、壁の中に配線したり、コンセントボックスを設置する場合、どうしても断熱材が干渉します。

外張断熱工法(外断熱)の場合は構造体の外に断熱材がありますから、壁の中は空洞になっています。そこに配線したり、コンセントボックスをつけると、干渉するものがないので楽です。

外張断熱工法(外断熱)のデメリット

ここでは外張断熱工法(外断熱)のデメリットについて解説します。

価格が高い(建築コストが高い)

外張断熱工法(外断熱)の方が、充填断熱工法(内断熱)と比較して、価格が高いです。建築コストが高くなります。

これは外張断熱工法(外断熱)に使用される部材、具体的にはプラスチック系ボード状断熱材の価格が高いからです。

とは言え、充填断熱工法(内断熱)の場合でも、セルロースファイバー羊毛断熱材などの断熱材コストの高いものであれば、外張断熱工法(外断熱)と比較しても特段安いということはありません。断熱材コストが高いものであれば、建築コストも高くなります

そういうわけで、結論としましてはグラスウールロックウール等の安価な断熱材による、充填断熱工法(内断熱)のコストよりも、外張断熱工法(外断熱)の方が価格が高い」ということになります。

地震により、外壁が崩れ落ちるリスクがある

外張断熱工法(外断熱)の場合、その施工内容から地震により、外壁が崩れ落ちるリスクがあります

理由について述べます。

まず、外張断熱工法(外断熱)の断熱材は木造住宅の場合、柱に留めつけます。構造体と呼ばれる部分です。

その後、通気層と呼ばれる空気を通すためのスペースを設けた上で、さらに、この柱・構造体に外壁も留めつけます。つまり、柱・構造体には外壁と断熱材を合わせた重量を留めつけられているということになります。

そのため、これらを留めるには距離がありますから、長いビスをうまく柱に留める必要があります。また外壁がしっかり固定されていないと、地震などで外壁がずれ落ちるリスクがあります。

基礎部分で外断熱であれば、シロアリ被害のリスクがあります

外張断熱工法(外断熱)の場合、床部分の断熱方法が2種類あります。床下と基礎部分です。

床下ではなく基礎部分で断熱を行なった場合、シロアリ被害が起こりやすくなります。地面に接しているからです。

シロアリ対策として、防蟻対策された断熱材の使用などが推奨されていますが、エリアによっては(温暖なエリアであればあるほど)シロアリ被害を防ぐには弱い場合があります。

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