ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)とは?特徴やメリット・デメリットを解説!

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)をドイツで見ました

目次

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の特徴

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)とは、ドイツで開発され1955年より本格的に生産され始めた発泡プラスチック系の断熱材です。EPSは「Expanded Poly-Styrene」の頭文字を取ったものであり、一般的には発泡スチロールやフォームスチレンという名称でも呼ばれています

炭化水素系ガスを用いて製造されているにも関わらず、加工後に大部分のガスが空気と置換されることによって熱伝導率の変化が小さくなるため、断熱性能の大きな変化や劣化が見られないことが大きな特徴です。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の製造方法

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を割ると小さな粒の集合体で構成されているのが分かりますが、この粒はビーズと呼ばれるポリスチレン樹脂を発泡させたものです。

直径1ミリ程度のポリスチレン樹脂(ビーズ)を、ブタンやペンタンなどの炭化水素ガスを吸収させた上で摂氏100度以上の蒸気を当てて、樹脂を軟化させつつ圧力を加えると発泡します。この発泡し熱を持ったビーズはそれぞれが融着しあい、冷却時に塊となってビーズ法ポリスチレンフォームが形成されるという仕組みです。

ちなみに断熱材にはビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)を含む発泡プラスチック系の他にグラスロールをはじめとした無機繊維系、インシュレーションボードやセルロースファイバーといった木質繊維系などが挙げられます。

発泡ブラスチックはビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)に加えて、ポリスチレンペーパー(PSP)やポリプロピレンペーパー(PPP)などの種類がありますが、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)と同様に建材および断熱材に用いられるのは押出法ポリスチレンフォーム(XPS)です。XPSは原料を液化させて高温および高圧下で難燃剤とよく混ぜて、通常の気圧・温度環境に連続的に押し出すことによって製造されるため、押出法という名が付けられました。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のメリット


ここではビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のメリットをご紹介します。

高い断熱性・耐水性があり、加工がしやすい

極めて高い断熱性と耐水性に加えて、加工のしやすさが大きなメリットとして挙げられます。

ポリスチレンの耐熱温度は80〜90度前後でありこれ以上加熱することで、軟化および融解するため任意の形状に加工することが可能です。

建材として利用される際、発泡の時点で専用の金型を用いて汎用材に成形されます。熱による成形のしやすさから製造後に刃物や電熱線による切削によっても加工されることもあり、電熱線を仕込んだ発泡スチロール加工専用品であるカッターナイフも市販されています。

軽量で衝撃吸収性に優れている

軽量かつ衝撃吸収性に優れていることも、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のメリットの1つです。

自由な形状に加工できて軽量で、なおかつ衝撃も吸収できるためさまざまな精密機械の梱包材に用いられます。

軽い上に断熱性・耐水性も高いことから、クーラーボックスの構造材に利用される程です。

中でも精密機器の梱包材への利用率は国内総生産量の過半数を超えており、残り3割は緩衝材として使用されています。緩衝材としての利用は家電製品を梱包する際に詰め込まれるほか、布袋に詰めて製品化されるビーズクッションも代表的な使用例です。

燃えにくく、燃えた際の有毒性が低い

またビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は燃えにくい、燃えた際の有毒性の低さなど安全性もそのメリットとして挙げられます。

難燃剤が添加されているため、従来の樹脂製品の欠点であった燃えやすさをクリアしている材です。さらには建材と切り離せない火災時の想定ですが、燃焼した際の生成物に含まれる有毒物質は極めて低くなっています。有毒性物質の中でも特に急性毒性を示す、シアン化水素や塩化水素が発生しない点は非常に優位です。加工時にフロンを使用していないため、地球環境に優しい材でもあります。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のデメリット

ここではビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)のデメリットについてご紹介します。

他の断熱材と比較すると燃えやすい

反対にデメリットとしては、繊維系の断熱材に比べれば燃えやすい点が挙げられます。

難燃剤を添加していて発泡プラスチック系の中でも燃えにくい部類ではあるものの、90度前後の熱には弱いです。

しかし大きな火災ともなれば、ほとんど断熱材は燃えてしまう上にシアン化水素など有毒物質を排出してしまう建材もあります。火災や災害時においてビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は熱で収縮してしまうものの、有毒物質をほとんど排出しないという点は大きなメリットと言えるでしょう。

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ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)をドイツで見ました