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グラスウールの特徴
グラスウールとは、その名前が示すようにガラスを原料とした細い繊維をウールのように集めて成形した建築用の断熱材です。ガラスを高温で溶かして作り、細い繊維同士が絡まり合うことによって空気の層を内部に持たせることで、軽量で断熱性・吸音性の高い素材として利用できるものに加工しています。
グラスウールは主原料の85%程度がリサイクルガラスを使用して作られている環境に優しい建築素材です。グラスウールは繰り返し利用できる上、環境保護やゴミの減量に役立つ環境性能の高い断熱材であることからグリーン購入法の特定調達品目となっています。
グラスウールはその繊維の細さなどで性能が変わり、高性能のものになると通常のものと比較してずっと細くなり、同じ体積でも繊維の本数がずっと増え、空気を含む空間も細かく多く作れるようになって断熱性や吸音性が高まります。
グラスウールは施工しやすいという特徴もあり、また価格が安いなど多くの特徴を持つため、さまざまな建築現場で利用されています。
グラスウールの利用シーン
グラスウールは、住宅においては、主に屋根・天井・床・壁用の断熱材として使用されています。
断熱材では、断熱性能に加えて断熱材の厚みが重要ですが、グラスウールはカタログ上の断熱性能では劣っても価格が安いため、厚みをもたせることで高い断熱性を提供することが可能です。
グラスウールはその他にも、断熱性能を活かしてビルや船舶の空調ダクトや給排水管の保温・保冷材などでも使われています。また、優れた吸音性もグラスウールの特徴です。音楽室やホール、体育館、スタジオなどの吸音材、高速道路の防音壁などさまざまな用途で利用されています。
グラスウールの強みを活かすだけでなく、弱点も補いながら、効果的にグラスウールは活用されています。一時期は素材や工法への理解が不足していたために結露やカビが問題になりましたが、今はそういったことはほとんどありません。
グラスウールのメリット
グラスウールの最大の特徴は、住宅に使う断熱材の中でも価格が安いことです。コストパフォーマンスが高いため、厚みをもたせることで断熱性と価格を調整できる強みを持ちます。同レベルの断熱性能を実現するための価格は他の断熱材と比較してもグラスウールはトップレベルです。
グラスウール素材は軽量であることもメリットで、断熱効果を高めるために厚みをもたせても、住宅の基礎に負担を与えませんし、壁材に負荷のかかる外張り断熱にも対応可能です。
その他にも、耐久性が高く、形状や組成が安定していることで、経年による断熱性能や強度の低下が生じにくいなどのメリットもあります。
グラスウールのデメリット
グラスウールは湿気に弱いと言われますが、グラスウールそのものが水を吸い込んでしまうことはありません。
グラスウールの繊維をお互いに接着している接着剤が湿気を吸うことで問題が起きます。
また、グラスウールでは寸法をしっかり守り、精度の高い作業を行わなければ隙間から湿気が入り込みトラブルの原因になります。グラスウールの普及期には知識不足のまま作業にあたる業者も多かったです。今では職人たちが注意して作業していますが、ローコスト住宅のように短納期で作業する場合にリスクが残ってしまうのがデメリットです。
グラスウールは素材としては人間に害はありません。グラスウールは接着剤によって成形されているため、接着剤の原料によっては温度状況によって揮発し、人体に害をもたらす危険性があります。