- 「束石という言葉を聞いたのですが、どういう意味ですか?」
- 「束石という記載がありました。詳しく知りたい」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
今回の記事では「束石とは?役割や実例で解説」します!
目次
束石とは?
束石とは、床束をのせて安定させる役割を持つ建築資材です。
木材である床束を地面に直接接触させて住宅を支えると地盤との接触面が小さいため不安定になります。その対策として古くから束石に床束を載せるという対策が取られており、住宅の重量を効果的に分散させ安定性が向上します。
また木造建築物が主流であった日本では、資材の天敵である湿度から守る目的でも束石が採用されてきました。
膨大な宝物や歴史遺産や文化財が保存されている正倉院が、代表例と言えるでしょう。
正倉院の画像を見ると地面との間に石畳の基礎があり、その上に束石と床束を確認できます。
使用されている束石は40個(奥4x横10個)に達しており、その上に床束が足を乗せるようにして支えています。
実に1000年以上もの間、束石が巨大な自重を支えてきたのです。
束石素材は石からコンクリートへ
最も長く使われていた束石素材が石です。
束石と呼ばれているように天然石の中から床束のサイズに適したものや目的にあった形に加工されてきており、一定の平たさとかなりの厚みをもちます。
平たいものであれば床束や地面との接触面を大きくなる建造物の自重を分散、また平たければ建造物を水平に保てます。分厚いほど強度が高まるため地震にも強くなります。
現在は石の代わりにコンクリートを使うことが増えました。
コンクリートは加工性に優れており、砂や砂利を加えることで石以上の強度と耐久性を実現できるためです。
近隣のホームセンターを訪れると様々な束石を見つけられます。
台形型や正六面体型、平板型や金具が取り付けてある羽つき型など、大きく分けると4種類あります。
束石には、短いものと長いものが存在します。
短いものは硬い地盤に向いており、長いものは地中の中ほどまで埋めて砕石を敷くかコンクリートで固定して使用します。
いずれも木造建築物の安定性を向上させるだけでなく、地面の湿気から建築物を守るために使用されます。
現代の木造住宅には束石はあまり使われません
ここまで、建築物の束石についてお話してきました。
じゃあ、現在の木造住宅、注文住宅の場合、束石を使っているかといいますと、99%の住宅で使われていません。残り1%は古民家を改装したり、古民家のような構造で建築されるような住宅です。
そういうわけで、ほぼ100%が束石を使っておらず、基礎工事をして住宅建築します。
基礎工事の内容はベタ基礎、布基礎とありますが、概念的には束石→布基礎というかたちで発展したと思われます。形状や理屈が同じ感じですので。
今の家で束石を使うのは「ウッドデッキ」が多い
現在で束石をよく使うところは「ウッドデッキ」が多いですね。
ウッドデッキの構造として、その足元に束石を使います。
木造住宅一軒に求められる束石の数
それで、実際には木造住宅には束石を使うことはないのですが、使う場合を考えてみます。
木造住宅一軒に求められる束石の数はどれくらいでしょうか?
1階面積50~130平方メートルある建築物の場合は、1平方メートルあたり0.43~0.47個ほど設置しなければなりません。
そのため50平方メートの住宅だと約25個、130平方メートルだと約65個の束石が必要になります。
束石の数が多すぎると建築コストが増加しますし、少なすぎると住宅の自重を支えづらくなって安定性が損なわれます。束石は多すぎても少なすぎてもよくないため、最適な効果を発揮できるよう面積ごとに設置すべき数が定められています。
束石施工のポイントは地盤と水平
束石施工をする際は、水平器(レベラー)や墨つぼ(チョークライン)、メジャーや曲尺などが使われます。
まず設計図を作り1平方メートルあたり0.43~0.47個、規則正しく整列するように束石を置く場所を決めます。
束石を置く地面をしっかりと叩いて固めていき、それが終わったら砕石をたっぷりと敷いてさらに突き固め、その後に束石を据えます。
水平器をつかって束石の水平度をチェック、水平にすることで床束が垂直に接続できるようにします。
ここで水平に保てないと床束の木材を調整しなければなりません。また無理やり完成させると傾きが生じるだけでなく、強度も落ちるためよくないです。束石を設置する場合は、必ず水平器を使ってチェックします。
地盤が軟弱な場合はあらかじめ5~8cm穴を掘り、突き固めた後に砕石を敷いてさらに突き固めると良いです。
安定性を高めるためにモルタル・コンクリートを流し込んで束石を据えて固定する方法もあります。
この場合は固まった後に水平になるように調整しないといけないため、難易度が上がります。
使用する束石の種類は、地盤の固さで決まります。固い場合は一般的な台形型や正六面体型、平板などがあれば十分です。
地盤が弱い場合は長さのある束石を使って地面には中程まで埋めて安定性を高めます。