『湖畔の山荘設計図集』中村好文(著)からは中村好文節がにじみ出てた【読書感想】

『湖畔の山荘設計図集』中村好文(著)からは中村好文節がにじみ出てた【読書感想】

『湖畔の山荘設計図集』中村好文(著)の概要

売れっ子の人気住宅建築家・中村好文さんの設計図集。

「湖畔の山荘(工事名:HILL HUT)」の設計過程を含めた図面集です。

中村好文さんは仕事を地震とスタッフの2人組(ペア)で手がけるようにしているとのこと。そのため、今回は基本設計、実施設計、工事の監理、完成まで、スタッフの入夏広親さんが手がけ、この図面集の全ての図面を描いたそうです。また、写真は雨宮秀也さん。中村好文さんの建築写真のほとんどを手掛けられています。

余談ですが、編集長・竹内は入夏広親さんとも面識ありますし、写真家の雨宮さんとはもう6年くらいのお付き合いになります。入夏さんはとても人当たりのよい、建築好きな方ですね。

(外部リンク)雨宮フォトオフィス

さて、この図面集をご覧なられたら、すぐにわかりますが、全て手描き図面です。

今の住宅建築業界はほとんどの図面がCAD図面になっていますので、中村好文さんも本書で書かれていますが、建築界の「天然記念物」あるいは「絶滅種」というわけです。

ただ、やはり手描き図面は味わいや温もりが感じられて、いいですね。

住宅そのものが完成するのが目的であって、図面はあくまで設計図であって、CADでも手描きでもどちらでもいいのですが、手描き図面はそのもの自体が価値がある感じがしますね。

本書の読者はこういう人を想定

本書は設計図集ということで、以下のような人を読者と想定されているそうです。

  • 住宅の設計の実務に携わる年若い設計者
  • 日々、真摯に設計に取り組む住宅建築家
  • 手描きで図面らしい図面を描いたこともない建築学生

ということで、建築業界人向けの書籍にはなります。

中村好文さんの著書は写真がたくさん入った、エッセイが入った書籍が多く、それらは一般の方向けですね。

家とは。住まいとは。本当はそんなに広くなくていいのかも。中村好文さん著「小屋から家へ」

2018年12月28日

建主との出会いが印象的

本書で印象的だったものの一つが「建主との出会い」についてです。

今や売れっ子の人気住宅建築家で、行列ができている中村好文さんですが、独立したての頃は仕事の依頼はほとんどなかったそう。ただただ待っているだけ、という日々を経験されていたそうです。

そういうわけで、ある日、郵便ポストに見覚えのない名前の方から一通の手紙が届くと、設計依頼の手紙だと直感的に感じられて、胸のときめき、心のざわめきは言葉に尽くせないというわけで、今回の「湖畔の山荘」のクライアントからの設計依頼も手紙だったそうです。

もちろん、現在では設計依頼の連絡は手紙の場合もあり、電話の場合もあり、メールの場合もあり、FAXの場合もたまにあるようで

プランの変化・過程がわかる

本書ではプランの検討が変化していく過程も掲載されています。

最初のプラン案ではコンパクトな平屋(A案)。
そこから、プランを検討してB案、C案。
1階+コンパクトなロフトの2階建のD案。
そこから、E案・F案。

湖の眺めを発見して、建物の配置を変更して検討したG案。
建物の角度を30度回転させたH案で建主にプレゼンテーション。

建主の意見が反映されたI案が最終案となり、着地。

これらの変化が全て図面として掲載されているので興味深い。

家具や収納のところが中村好文節

中村好文さんは元々、家具畑のご出身。

というわけで、建物の設計のみならず、造作キッチンや造作家具なんかも設計します。

造作キッチンや造作家具、収納も設計して作っていくと、素材も統一感出ますし、同じように味わい深い経年変化しますし、いいですよね。

図面集ということで、たしかに設計図面ばかりが掲載されているのですけれども、そこから色々なもの、こと、考えがにじみ出ていました。

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