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耐震等級とはどんなものか
阪神大震災など大規模な地震では、建物の倒壊により多数の市民が圧死するという痛ましい被害を受けました。建物の強度は地震の際に人命を救う上で重要な要素となるのです。
耐震等級とは壁・床・柱の強度や配置のバランスなど総合考慮して建物の強度をわかりやすく示す基準です。
言い換えれば、耐震等級とは住宅品質確保促進法により定められた住宅性能表示の一種で、建物がどれくらいの強さの地震に耐えられるかを示す3段階のレベルのことです。
耐震等級の数値が大きければ大きいほど強い地震にも耐えうる頑丈な建物だということを示しています。
すなわち、耐震等級1から耐震等級3までの等級のうち、耐震等級3の建築物が最も頑丈で強い地震にも耐えうるということになります。注文住宅を建築する際には、その住宅会社・工務店・ハウスメーカーが耐震等級としてどの程度を標準的に施工しているかを選択の目安にすることができます。
耐震等級1について
耐震等級1は建築基準法で定める最低限の耐震強度のことです。
100年に1回は起こりうる熊本地震のような震度7の地震であっても倒壊しない程度の強度が必要になります。さらに10年に1回は起きるとされる震度5程度の地震では損傷しないという条件もクリアしなければなりません。
耐震等級1の基準を満たせば、地震大国と言われる日本でも建物の倒壊による圧死などの被害を防ぐことができるということになります。
地震保険には「耐震等級割引」という割引制度があり、耐震等級1の建物には10パーセントほど地震保険料の割引という特典が適用されます。ただし、耐震等級1の建物だからといって、実際に震度7の地震に耐えられることを保証するわけではありません。
あくまでも耐震等級は理論上の数値であって、経年劣化や地盤など土地の特徴によって耐震性が低くなるおそれもあります。したがって、耐震等級1と認定された建物について大規模改修や建て替えの必要が生じる可能性も否定できません。
耐震等級2について
耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の耐震性能がある建物に認められます。
耐力壁が多いほど耐震性を高めるため、耐震等級2の建物は耐震等級1に比べて耐力壁が1.55倍必要とされています。
震度7の地震が起きても損傷が小さく、軽く補修をするだけで住居として使用継続可能なレベルと言えるでしょう。学校や公民館など公共の避難所に指定される建築物が、耐震等級2の基準を満たすことになっています。
耐震等級1では考慮する必要が無かった接合部・床・基礎についても耐震等級2には一定の強度が求められます。丈夫で長持ちする長期優良住宅に認定される建築物は、耐震等級2以上の基準を満たすことが必要です。耐震等級割引については、耐震等級2の建物には30パーセントくらい地震保険料が割引される特典が適用されます。
耐震等級3について
耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性能がある建物に認められます。
耐震等級3の建物は耐震等級1に比べて耐力壁が1.86倍必要とされています。
3段階の耐震等級のうち最も厳しい基準になります。
震災の際に災害拠点として重要な役割を果たす消防署や警察省などが耐震等級3のレベルの建築物となっています。東日本大震災では、耐震等級3の建物が全く被害を受けなかったという実績が評価されました。そこで、耐震等級割引については、耐震等級3の建物に最大50パーセントという地震保険料の割引という特典が適用されています。
先述したとおり耐震等級とは理論上の目安に過ぎないので、耐震等級3の認定を受けた建築物であれば実際に大地震が起きた際にも倒壊・損傷の危険が全く無く安心して住めるというわけではありません。
耐震等級3の建物であっても、軟弱な地盤の上に建てられていたり築年数が長く老朽化が進んでいたりしたら倒壊や損傷の危険が無いとは言えないでしょう。紙面上の数値だけで判断することなく、建物の状況を精査して必要なら補強工事などを施すことが必要です。