こんにちは。
住宅業界の情報通でかつ、不動産にもちょっと関係している竹内です。
「マンションと戸建てって、どっちがいいの??」
そう思ったことはありませんか?
正直言って、分譲マンションにも、戸建て住宅にも、
どちらもメリット・デメリットあります。
「ぶっちゃけ、その人次第」が本当の答えなんです。
ただ、僕の意見はひとつです。
「(30年以上住むなら)分譲マンションよりは、戸建て住宅がおすすめ」
僕は別に分譲マンションを否定したいわけではないんです。
後述しますが、居住しやすさ、売却の容易さ、経済合理性などから、分譲マンションのほうがおすすめな方もいらっしゃるんです。
なので、分譲マンションおすすめ!な方もいます。
ただ、30年以上の超長期に渡って、そこに住もうと思うのであれば、戸建て住宅がおすすめ!になります。
まず、分譲マンションのメリットを見ていきます。
目次
分譲マンションのメリット
分譲マンションのメリットは大きく3つです。
この3つは戸建て住宅を超えるメリットだと思います。
1.居住しやすい
最初は「居住しやすい」です。
マンションはオートロック完備。
管理人の人が常駐していれば、安全性も高いです。
また、高層階であれば、セキュリティ的にも戸建て住宅よりも高いレベルを維持できます。
居住しやすいです。
2.売却がかんたん
第二は「売却がかんたん」という点です。
戸建て住宅は一品ものみたいな感じなので、売却するのに難しい場合があります。
その点、分譲マンションであれば、同時に何十戸販売されているので、売る時が簡単です。
これは戸建て住宅よりも大きなメリットです。
3.立地のいいところに住める
最後の3点目が「立地のいいところに住める」という点です。
敷地内に高いマンションを建てますから、アクセスよく、利便性の高いところに住むことができます。
高級立地に住むことができるのは、マンションのメリットです。
戸建て住宅だと、なかなか手が出ないところにも住むことができます。
じゃあ、分譲マンションのほうがよくないか?
「じゃあ、分譲マンションのほうがメリット多そうだし、よくないか?」
と思われたと思います。
・・・・・ただですね、たったひとつ。
たったひとつの理由で、これらのメリットすべてを凌駕するメリットが戸建て住宅にはあるんです。
なんだと思いますか?
それは『意思決定権』です。
分譲マンションより戸建住宅をおすすめする、たったひとつの理由『意思決定権』
戸建て住宅の場合、ひとつの土地にひとつの建物(住宅)。
そして、土地の所有者はあなた。
建物(住宅)の所有者も、あなたです。
この財産に対する意思決定権はあなただけ。
では、分譲マンションはどうなるでしょうか?
分譲マンションの場合、ひとつの土地に複数の所有者、ひとつの建物に複数の所有者になります。
土地の所有者は分譲マンションの戸数分の所有者。
建物の所有者は分譲マンションの戸数分の所有者です。
具体的には分譲マンションは区分所有になります。
マンションのひとつの区画の所有者はあなたになります。
ロビー、廊下やベランダなどの共有部はマンション全体の持ち物(あなたのものではありません)。
土地は共有名義が一般的です。
建物の区分所有権者で相当額分を共有します。
たとえば、76/576の所有権とか。
それで、意思決定は区分所有権者の合意です。
これらが戸建て住宅の場合の所有権の在り方、分譲マンションの所有権の在り方です。
そうしますと、これには大きなポイントが存在します。
分譲マンションの場合、土地を所有しているっぽいけど、実質的にはそうではない
先ほど、分譲マンションの場合。
76/576の所有権とかの数字で土地の所有権を持っているとお話しました。
だから、土地を所有しているっぽいですよね?
実際、不動産の売買の際も、その土地所有権も資産価値として評価されますので、価値ありますね。
ですが、「実質的にはそうではない」んです。
土地を所有しているっぽいんですが、実際上は処分することも、再利用することもできません。
所有権は持っているのですが、処分権はないんです。
土地について何かするという意思決定には、共有者の合意が必要です。
これが非常に大きいポイントです。
分譲マンション所有者は単独では大規模な活動ができない
分譲マンション所有者が単独では意思決定権を持っていないということは非常に大きなデメリットです。
戸建て住宅の場合はシンプルです。
土地・建物の所有者はあなた。
意思決定権者もあなた。
あなたが外壁リフォームしたいなら、すぐにできます。
あなたが建て増ししたいなら、すぐにできます。
でも、分譲マンションはそうはいきません。
あなたが外壁リフォームしたくても、共有者の合意が必要です。
あなたが建て増ししたいなら、たいていはできません。
※区分所有部分はできますよ。リフォームは。
たとえば、外壁のタイルがはがれ落ちそうだということになれば、管理会社含めて協議して合意されて、メンテナンス・修繕されるでしょう。
しかし、外壁のタイルが気に食わないからといって、張り替えたいという話であれば、合意はとれないでしょうから、できないでしょう。
端的に申し上げますと「分譲マンション所有者は単独では大規模な活動ができない」ということです。
「10年、15年くらいで売却して、別のところに住み替えます!」という方であれば、分譲マンションはいい選択肢
このデメリットは築5年とか、築8年とかでは見えてきません。
築15年、30年、45年とかになってくると、このデメリットは強烈にあらわれてきます。
だから、僕は最初に申し上げました。
「(30年以上住むなら)分譲マンションよりは、戸建て住宅がおすすめ」
「10年、15年くらいで売却して、別のところに住み替えます!」という方であれば、分譲マンションはいい選択肢です。
売却も容易ですし。
ただ、築15年、30年、45年とかになってくると、ボディブローのようにデメリットが効いてきます。
築15年、30年、45年とかになってくるとマンションには何が起きるのか?
僕は人生において不動産は切っても切り離せない関係にあると思っていまして。
それで不動産については、人一倍詳しいのですが、個人的にちょっと詳しいのが「築古の分譲マンションはどうなるか?」というテーマです。※なぜ詳しいのか、という点については、ここでお話することではないので、ご興味あれば、僕・竹内に個人的にお問い合わせいただければと思います。分譲マンションについて詳しい理由についても、明確な根拠があって申し上げておりますので。
それで、お話しておきたいのですが、築15年で何が起きるのかと申しますと「大規模修繕」です。
大規模修繕という不可避なイベント
大規模修繕は大きなメンテナンスですね。
エレベーターとかって結構高いんですよね。メンテナンス費が。
他にも外壁や、内部通路、それ以外にも経年劣化しています。
それらをきれいにするということで、大規模修繕します。
15年のところもあれば、10年のところもありますし、17年とかもあります。
管理組合次第でもありますけれども。
それで、大規模修繕は何が問題になるかといいますと、「大金がかかる」わけです。
マンションの規模次第ですが、3000万円、5000万円、1億円、2億円。
規模と内容、高級マンションか否か。
金額はそれに応じますから、端的に申し上げますと「お金がかかる」わけです。
この原資はどこから来ますでしょうか?
区分所有者の方々が積み立ててこられた「修繕積立金」です。
一時金もありますね。
「毎月のその修繕積立金で、足りますか?」
ここでひとつ質問があります。
「毎月のその修繕積立金で、足りますか?」
築15年目。大規模修繕。余ってます。
築25年目。大規模修繕。足りない。
どうするか?
一時金をみんなで出し合おう。
・・・あれ、2世帯くらいお金出さない。
どうする?
みたいなことが起きます。
最近では、修繕するお金が足りないので管理組合で金融機関から借金する話もあります。
じゃあ、そんな分譲マンションは築45年でどうしますか?
マンション建て替え、どうしますか?
人生100年時代です。
築60年目で建て替えになったとき、どうしますか?
鉄筋コンクリート造のマンションも60年程度で建て替え推奨です。
じゃあ、分譲マンションの建て替えができるかというと、現実問題、無理です。
高度経済成長期の分譲マンションがちょうどいま、建て替え時期に差し掛かっていますが、結構、建て替えが実現しないので問題視されています。
たまーに建て替えを実現した分譲マンションがありますが、敷地がすごく広くゆったりだったので、建ぺい率・容積率をMAXまで使って建て替えて、プラスになった部分を売って原資にした、とか。
あとは容積率の緩和を地方公共団体とネゴして、その分を売ることで原資にしたとか。
まあ、いろいろとあるので、できなくはないですが、それに条件がマッチしている分譲マンションはすごく少ないので、そういう事例が特集されるわけで・・・みたいな。
それが「(30年以上住むなら)分譲マンションよりは、戸建て住宅がおすすめ」な理由です。
はっきり言います!すべての分譲マンションがそうではないです。いいマンションもあります!
ここで申し上げておかなければならないのが、すべての分譲マンションがそうではないという事実です。
毎月の修繕積立金が不足するのは修繕計画が見通し甘いわけです。
ひるがえって見たときに、僕の意見では「管理組合による管理会社選定が甘い」んです。
特にコストパフォーマンスもない、ブランドだけのイメージ先行で選ばれた管理会社。
まさか分譲時のデベロッパー子会社の管理会社じゃないですよね?
「きちんと管理会社選定してますか?」」
「その修繕計画は妥当性がありますか?」
「誰かに利益誘導されてませんか?」
「そもそも、修繕積立金を理事長に着服されてませんか?」
真面目できちんとしたコストパフォーマンスの高い管理会社に委託するということ。
それだけではなく、分譲マンションそのものの資産価値を維持するための努力を住民でしていますか?
30年以上住むつもりであれば、これらの質問に即答できないといけません。
僕の考えでは、売却可能性を持った人、上記内容を理解した人、不動産賃貸業も考えている人、そういう人にとっては分譲マンションは好ましいかと思います。
ただ、30年以上住むつもりであるならば、最終的には戸建て住宅のほうがメリットは大きいと思っています。
「戸建て住宅は価値が下がるから・・・」本当ですか?
「戸建て住宅は価値が下がるから・・・」
という意見を聞きます。
たしかに戸建て住宅は価値が下がります。
ただ、土地値よりは下がりません。
更地にして売ることで現金化できます。
住宅が古くなれば、お金があれば建て替え可能です。
分譲マンションは建て替えできません。
分譲マンションの本質的な問題点
分譲マンションの本質的な問題点は「複数世帯で共有していること」です。
その複数世帯はそれぞれ発言権を持っています。
これが問題です。
その共有世帯数、たとえば、20とか50世帯とか。
その20、50人がそれぞれ意見を言えます。
話がまとまるわけがない。
そもそも、日本の分譲マンションはお金を払えば誰でも買えることが問題を大きくしています。
たとえば、アメリカの高級コンドミニアム(高級マンション)では、居住者全員が履歴書、収入証明、面接を経て許可された人しか買えないところもあります。
まあ、それが良いか悪いかは人によりますけれども、とりあえず、かなり選ばれた人しか入れないので、まとまりやすいです。
お金を払えば誰でも買えますから、
なかには必ず(ここ強調しておきます・笑)、必ず変な人がいます。
もし、変な人がいなかったら、最高にラッキーなマンションです。
中古マンションであとから入ってくる将来の住人も変な人じゃなかったら、それだけで最高ラッキー。
それでいて、皆平等な取り扱いですから、組合運営に支障をきたします。
そういう意思決定の複雑さがあります。
老朽化などの問題に直面しない間は、これらの話が顕在化することはないでしょう。
ただ、ほぼすべての分譲マンションはこれらの問題を根底に抱えています。
そういうわけで、「(30年以上住むなら)分譲マンションよりは、戸建て住宅がおすすめ」
と主張しております。
ここまでお話しておいて何ですが、
これらの問題を理解した以上、それに対処できるんですね。
カンタンな対処法は売却です。
タイミングよく売却して、別のところに住み替える。
そういうこともできますし、事前に策を講じることもできます。
そういうわけで、分譲マンションであれば、分譲マンションなりの対応策はあります。
僕個人としては土地が好きなので、戸建て住宅をおすすめしますが。
もし、「マンションと戸建てって、どっちがいいの??」と思われたことがありましたら、
これらの話をご理解いただけましたら、判断の参考になるものと思います。