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勾配の考え方
勾配とは、水平方向の距離に対して、垂直方向ではどのぐらい上がったのか、もしくはどのくらい下がったのか、という事を表すときに使われる用語です。
身近なものに喩えると、すべり台がイメージしやすいかもしれません。すべり台の、すべり降りるところの角度を勾配として表すとき、すべり始める所とすべり終わる所の水平距離が2mで、すべり台の高さが1mだったとします。このときの勾配を「2分の1勾配」や「50%の勾配」と表します。
すべり台の例では2分の1勾配としましたが、実際に使われるときは「100分の1勾配」や「1%の勾配」といったように、もっと小さな角度で使われます。また、角度を大きくすることを「急勾配」にする、角度を小さくすることを「緩勾配」にする、といった言い方になります。
住宅における勾配の使いどころ
住宅を建てる際、屋根に勾配が使われているのはイメージしやすいと思います。
しかし、それだけではありません。
駐車場や、台所などにある排水溝と下水道をつなげる排水管にも使われています。
屋根や駐車場は雨水が溜まらないように勾配を付け、排水管は排水が下水道へと滞りなく流れるように勾配を付けます。
勾配は、主に水が関係している所に使われているという特徴があります。
細かい部分で言えば、お風呂場の床にも排水溝へ水が流れるように勾配が付いていると言えます。
勾配の表し方
勾配の数値を表す表記として「角度勾配」や「分数勾配」「尺貫法勾配」があります。
角度勾配は「30度」などで表し、算数で三角形の角度を表すときと同じですが、住宅ではあまり使われません。すべり台の例で挙げた「100分の1勾配」や「1%の勾配」は分数勾配にあたり、主に駐車場や配管などの勾配を表すときに使われます。
尺貫法勾配は、日本特有の単位である「尺・寸・分」を使い表す方法になります。
屋根で使われることが多く「4寸勾配」といった感じに表されます。
1寸をmm単位に直すと、30.3mmとなります。
屋根の勾配を見る場合は、水平方向の距離を10寸としたとき、垂直方向に何寸下がったのかを見ます。例えば、垂直方向に4寸下がった場合は「4寸勾配」であると言えます。
屋根における勾配の重要性
屋根の形状を考えるときに、特に気を付けたいのが屋根勾配です。
屋根の形状は外観のデザインにも大きく関わってきますが、勾配によって機能性や耐久性、屋根に使用できる素材などにも影響してきます。
6寸勾配以上を「急勾配の屋根」と言い、3寸勾配以下を「緩勾配の屋根」と言います。
また、3寸勾配より大きく6寸勾配より小さい場合は「並勾配の屋根」という事になります。
急勾配の屋根
急勾配の屋根にすることで、屋根裏部屋として使える空間が増えるとともに、断熱効果を高める効果があります。
外観のデザイン面でも、個性を生かしたオシャレなデザインにすることも可能です。そして、雨が屋根に溜まりにくいので、雨漏りの心配も減ります。
半面、屋根自体の面積が増えることにより、風の影響を受けやすかったり、施工コストが上がったりすることもあります。
緩勾配の屋根
緩勾配の屋根の場合、屋根自体の面積が小さいため風の影響を受けにくく、雪の多い地域では落雪の危険性が減ります。
また、屋根の上を歩きやすいので、屋根の雪下ろしがしやすく、施工時にも作業効率があがり施工コスト削減にもつながります。
しかし、雨や埃などが溜まりやすくなり、屋根材が傷みやすくなる場合もあります。また、選べる屋根材が限られてくることもあります。
並勾配の屋根
日本で最も普及しているのが並勾配です。
施工例が多いので施工スピードが速く、雨漏りなどのトラブルのときや、リフォームをするときの対応がしやすいと言えます。また、豊富な種類の屋根材を使用できるので、デザインの幅を広げることができます。