【左官・塗り壁】建主様とつくる家。一緒に珪藻土、塗り壁を施工する。

現代の住宅で内装仕上げと言いますと、やはりビニールクロスになります。
なぜかと申しますと「安いから」という言葉につきます。

分譲マンションの内装はビニールクロスです。
高級マンションの内装もビニールクロスです。
建売住宅の内装もビニールクロスです。
注文住宅の内装もビニールクロスです。

それが一般的です。

やはりコスト的な要因が大きいと思います。

目次

安いビニールクロス・高い塗り壁

1平方メートルの内装を仕上げるのに、材料を手作業で塗っていく左官仕上げ(塗り壁・珪藻土や漆喰など)とビニールクロスを接着剤つけて、貼っていく作業のビニールクロスでは、作業スピードが違いますから、それは人件費に跳ね返ってきまして、日本人の人件費ベースで考えますと、なかなかにお高い仕様となってしまうのは仕方ないという話でございます。

個人的な意見から申し上げますと、特段、ビニールクロスだからといって悪いわけではないのではないか、と思うのです。

高級ホテルも、防災の観点から概ね、ビニールクロスで内装仕上げしていますし、ビニールクロスでもよさそうなテクスチャーがあったり、素朴な色を選べば品よくまとまるということもありまして「ビニールクロスが悪い」という大いなる主張をされる方も左官・塗り壁肯定派の方々にはいらっしゃいますけれども、僕個人としましては「ビニールクロスは、コストパフォーマンスがよいですし、よいのではないか」と思うのです。

ただ、そうは申しましても、いろいろな住宅やら、建築物やら見ております者としましては、同じ費用(コスト)であれば、それは塗り壁(左官壁)のほうがよいのだということは大いに主張したいところではあります。コスト要因でビニールクロスが強いという点は同意しますが、コストを度外視しますと、やはり塗り壁がよいのではないかと思うのです。

ちなみに塗り壁(左官壁)というのは、壁に土みたいな材料を塗って仕上げる内装仕上げのことで、珪藻土や漆喰がメジャーな塗り壁です。自然素材系の仕上げで有名だったりします。

高い塗り壁を安く手に入れる方法

そういうこともございまして塗り壁(左官壁)をプッシュしたいところではありますけれども、実際にはコストが高いということもありまして、なかなかすべてというわけにはいきません。

ただ、そんな高い塗り壁(左官壁)を安く手に入れる方法があります。
それは「自分でやる」という方法です。

いきなり「自分で塗り壁を塗る!」とおっしゃられても、到底できるわけはないと思うのですけれども、僕のような何でも屋さんの竹内工務店(でんホーム株式会社内)が一緒にやれば、それもオッケーということで今回、福岡市城南区七隈で建築中の注文住宅のお家ではそれを実行しています。

今回は建主様と一緒に珪藻土の下塗り材、上塗り材、珪藻土そのものを施工しようと思っています。

フジワラ化学のベストアンダーを施工中
▲下塗り途中

建主様とともにつくる家

「えっ?!建てる側も一緒につくらないといけないの??」

と思われたかもしれません。。。

一般的には建主様は施工する必要はありません。

ただ、日本の歴史的な文脈からすれば、建主側が商品を買う感覚で家を建てるというのは近代以降であるといえます。

フジワラ化学のベストアンダーとウォールパテタフ
▲建主様も左官作業中

かつての住宅というのは地産地消でした。それは物流が整備されていないですし、モノの調達・運搬にコストがかかるという面が大きかったでしょう。実際には、近くの山から木を伐り、それをベースに住宅を建てるというかたちになります。

基本の構造的な部分はもちろん棟梁と呼ばれる大工さんがしますが、それ以外の補助的な業務や屋根がけ、左官壁なんかも、建主様自身だけというわけでもなく、地域の共同体、つまりは村だったり、集落だったりの住民が総出で住宅建築するというのが一般的であったのです。地域の共同体・コミュニティで家づくりはなされていたのです。

そういうこともありまして、今回、建主様と一緒に塗り壁(左官壁)するというのは住宅建築における流れからするに、何ら特別なことではないのだと感じます。

ABOUTこの記事をかいた人

でんホーム株式会社 取締役・編集長。設計に口出し、現場を管理し、記事にも口出しする何でも屋さん。油山幼稚園→堤小→長尾中→福岡中央高→九州大学経済学部卒。2人の娘を持つ。【趣味】読書