「モバイルハウス」という言葉を聞いたことはありますか?
今回はそのモバイルハウスを自作して移動しながら生活している人に話を聞いてみる機会があったので、それも含めて詳しくお伝えします。
お話させていただいたのは「赤井成彰(あかいなりあき)さん」通称、ナルさん。

荷台冒険家ライフスタイルエクスプローラー。北海道大学を卒業後、バンダイを経てモバイルハウス”Toby”と冒険の旅に出てる方です。
私(編集長・竹内)との出会いは、東京でブロガーさんが主催するイベントがありまして、そのイベント会場でお会いしたのがきっかけですね。そこからfacebook友達でfacebookのタイムラインを見ていたら、福岡の近くにいらしたので・・・みたいな流れです。
ただ、お会いした時はモバイルハウスを自作されているわけではなく、まだ模索の時期だったようです。そこからモバイルハウス自作されて日本一周をされています。

目次
モバイルハウスとは?
そもそも、モバイルハウスとはその名前の通り、「モバイル(移動可能な)」「ハウス(家)」です。移動できる小屋と言うわけです。
モバイルにするためには必要最低限にモノをしておかないと、移動できないので、必然的にモバイルハウスにはミニマリズム的な要素が多分に含まれます。
流れとしては「タイニーハウス」という、小屋のような家、生活に必要最低限の家具やモノを持った家のコンセプトと近いです。
文化的なイメージで言えば、物質至上主義的、資本主義的、大量生産的な文化がこれまでの主流だったわけですけれども、そういう流れに対するアンチテーゼのような、そういう流れが「嫌だなー」と感じる層、私(編集長・竹内)も若干、そういう感覚があるのですが、そういう文化を背景に持ったムーブメントな気がします。
なんだかんだ言っても、モバイルハウス・・・いいですよね!!
モバイルハウスの自作パターン3つ
モバイルハウスを自作しようと思った場合、大きく3つのパターンがあります。
- 軽トラ・トラックの荷台に小屋を作るパターン(今回はこちら)
- バンの荷室を寝室にするパターン
- 牽引式のトレーラーを小屋にするパターン(トレーラーハウス)
今回の赤井さんのモバイルハウスToby号はトラックの荷台に小屋を作るパターンでした。
それぞれ、コストもスペースも異なるので、色々と違いがあるみたいですね。
モバイルハウスのメリット
モバイルハウスのメリットは大きく2つあります。
移動可能なところ・自由
モバイルハウスのメリットとして一番は、やはり移動可能な家というところです。
旅先で寝床を探そうと思ったら、どうしてもホテルになってしまいます。それがモバイルハウスなら、駐車場の確保ができれば、どこでもホテル。どこでもハウス。
移動の自由が得られるというのが最大のメリットですね。自由が手に入ります。
価格が安い
また、価格が安いというのもメリット。
サイズが小さいので、総額が安いです。
家を注文住宅で建てると、2000万円前後は最低でもしてくるところが、数百万円-100万円、やり方によっては数十万円で可能になってきます。トラックの車両費もありますので、一概には言えませんが。
モバイルハウスのデメリット
モバイルハウスのデメリットはメリットでもあるのですが、自由というところです。
自由がゆえに、ルールがないので何をしたらいいかわからない、自分で何かをできる人でないとなかなかフィットしないです。クリエイティブゆえですね。
また、機能があまり充実できないというのもデメリットです。
モバイルさせるために、必要最低限の機能に絞っていますから、機能はあまり充実していません。
モバイルハウスに向いている人
今回、モバイルハウスについて色々と考える機会になったのですが、モバイルハウスに向いている人はこういう人かと思います。
- ノマドワーカー(地域に縛られない働き方の人)
- 旅が好きな人
- 自由なライフスタイルを望む人
モバイルハウスを十二分に活用しようと思った場合、やはり移動しないと意味がないです。モバイルなので。
そういうわけで、必然的に移動、旅といったものがついてまわる感じです。
どこか別の場所に移動したい、旅したい、そういうニーズにジャストフィットなのがモバイルハウスなので。
そういうわけで、ノマドワーカーのような遊牧民的な感じで働くことのできる人はモバイルハウスに向いています。
また、旅が好きだったり、自由なライフスタイルを望む人も、そういう移動の自由、旅の自由、コスト安く旅できますから、そういう自由が手に入ります。
話を聞いて、家について考えさせられた件
色々と考えさせられるのが「モバイルハウス」。
今回、赤井さんと話をして、家という存在について考えさせられました。
どういうことを考えさせられるか、というと、大きく2つの点になります。
- ミニマリズム(本当は少ないモノで暮らせるはず)
- 家とは本質的にはどういう意味か?
ミニマリズム(本当は少ないモノで暮らせるはず)
赤井さんは私が会うまでに200日以上のモバイルハウス生活をしています。
200日以上の生活をトラックの荷台にある小屋ひとつ、しかも、かなりスッキリしているので、本当に少ないモノで生活していることになります。
携帯電話、パソコンといった現代的なIT機器ももちろん活用。
ただ、それにしてもモノが少ないです。
そういうわけで、本当はもっと少ないモノで暮らすことができるはずです。
にもかかわらず、不安や執着から、ついついモノを持ってしまいます。
家ももっとコンパクトでいいはずですし、生活ももっとミニマルなものでいいはずです。
本当に大切なモノを大事にして、あまり大切でないモノ、不要なモノは整理するというミニマリズム的なことを実行していきたいと感じました。

家とは本質的にはどういう意味か?
モバイルハウスは名前に「ハウス」があるように「家」です。
土地に定着した、一般的な一軒家も「家」です。
本質的にはやはりどちらも同じなのだと感じます。
では、家とは本質的にはどういう意味なのでしょうか?
家というモノの存在価値はどういうものなのでしょうか?
赤井さんがモバイルハウスに行き着いた原点として「そもそも家にお金がかかりすぎている」という考えがあったそうです。
東京都内で小さなマンション借りるのに10万円弱するわけです。12ヶ月で考えると、年間100万円は少なくとも家に支払っています。
それで対価として得られるのは、寝るところ、居場所、住所、そういった意味合いになろうかと思います。
そう考えれば、寝られて、家としての最低限必要とされる機能が整っていれば、ミニマルなモバイルハウスでもオッケー、となります。
なるほど。
ただ、この話には、当事者の置かれた状況によって意見は大きく異なります。
私も赤井さんと話したのですが、
「家族がいたら、厳しい」
という側面です。
モバイルハウスでの自由でミニマルな移動可能な生活は魅力的な側面も大きいですが、家族がいたら、「教育」と「通勤」の点で支障をきたす可能性が高いです。
そういう意味で、土地に定着した一般的な意味での「家」には価値として、教育の拠点、通勤の拠点といった意味合いがあるというわけです。
もちろん、一般的な「家」には見栄だったり、自己満足だったり、達成感だったり、安心感だったりという付加価値がたくさんあります。だからこそ、35年の住宅ローンを組んで土地と注文住宅を建築するわけです。
私も注文住宅建築に関わっている人間として、一般的な「家」には大いに価値があるものと思っています。
ただ、その一方で、そういう一般的な「家」しか存在しないかのような固定概念を持っていたのも事実です。
本質的な意味での「家」はそういう一般的な「家」に限らず、モバイルハウスやタイニーハウスといった小屋的なものも含めて、キャンプのテントも竪穴式住居も含めて、人間が元々、そういうところで暮らしていたわけですから、本質的な意味では同じです。
それを認識した上で「じゃあ、あなたはどんな【家】に住みたいですか?」という問いに答えることは好ましいです。
ある人は「モバイルハウスだ」と言うでしょう。
家族がいて、勤め先があれば「一般的な家でしか考えられない」と言うでしょう。
5万年くらい前の日本人であれば「竪穴式住居しか知らない」と言うでしょう。
どれも家です。
シンプルなようで複雑。
なんとなく感覚な気がします。
モバイルハウスもアリな気がします。