設計の中川路です。
中学生の娘を持つママさん設計しとして、でんホーム設計部メンバーとして勤務しています。

目次
フルマークハウス・モデルハウス「諫早の家」

そこは諫早陵丘の新興住宅街にあり、街のはじまりのなだらかな坂道からも、一等高い場所にあるモデルハウスは、遠目からも望められる場所にありました。
近づいていく道なりに角度が変わってみえていく様は、この坂道は”諫早の家”のためにあるアプローチのようでした。
“諫早の家”は、静かに繊細でありそれでいて堂々とした佇まいで建ってます。
今回、フルマークハウスの吉田取締役にいろいろと取材させていただきました。
「”諫早の家”の仕上げのなかで、一番のこだわりはどこですか?」

「”諫早の家”の仕上げのなかで、一番のこだわりはどこですか?」
吉田安範氏(以下:吉田):『木を上品に使う』というところですね。
自然素材・本物の仕様にこだわり、工業製品や既製品をなるべく使わないという方針でやっています。長崎ではまだ、そういう自然素材住宅というような家づくりが少ないのです。
ですから、このような自然素材を活かした住宅を長崎に広めていきたいと考えています。
今回のモデルハウスで、伊礼智さんに設計を頼むことで、そのテイストの家づくりをしっかりと学ぶことができました。細部までの指示で大工さんや現場は困惑することもありましたが、やりがいを感じることが多かったですね。
「”諫早の家”の床・壁・天井の仕上げと、そのこだわりやポイントは?」

「”諫早の家”の床・壁・天井の仕上げと、そのこだわりやポイントは?」
吉田:まず、床の仕上げで特徴的なものは外部のアプローチから、玄関、廊下まで一貫して通した「大谷石(おおやいし)」の仕上げです。

この家全体のフローリングは基本を米松の無垢フローリングにしています。洗面、トイレ、ランドリールームはコルク。寝室はタイルカーペットと、機能性で切り替えていたりしています。
内壁については基本はシラス塗り壁になります。具体的には薩摩中霧島壁(さつまなかぎりしまかべ)になりまして、外壁のそとん壁と同じメーカーがつくっている素材になります。
天井はリビングの天井だけ、内壁と同じ素材である薩摩中霧島壁(シラス塗り壁)です。それ以外は米松のピーラー材(無垢材)を貼っています。
細かいところになりますが、収納や扉の引手の部分は木の色が濃いチークで制作しています。手垢などで汚れても目立たないようになっています。
「”諫早の家”のキッチンのこだわりはいかがでしょうか?」

「”諫早の家”のキッチンのこだわりはいかがでしょうか?」
吉田:キッチンは、コンパクトなL型キッチンで、間取りレイアウトが独特で2WAYの回遊できる間取りになっています。片方かリビングへ片方はダイニングへと回遊できます。
最近人気の対面キッチンに比べても、建具のないキッチンからは、リビングを見通せることができる開放感もあり、それでいて、ほどよく雑多になりがちのキッチンを見せないようにもできています。
「”諫早の家”の造作キッチンの素材はどのようなものでしょうか?」

「”諫早の家”の造作キッチンの素材はどのようなものでしょうか?」
吉田:天板はステンレスです。収納扉はシナベニヤを使っています。
壁はタイルで、コンロ下にすっぽりと納まる70cm幅ほどのワゴン(キャスター付)が格納されていまして、大きな鍋類も収納できるようになっています。ワゴンは、ダイニングへの食器などの配膳にも役立つので便利です。
キッチン背面には家電と食器収納棚があります。幅は90cmほどの床から天井までの造作収納にしています。
「”諫早の家”の浴室はハーフユニットバスのヒノキのお風呂なんですね?」

「”諫早の家”の浴室はハーフユニットバスのヒノキのお風呂なんですね?」
吉田:そうなんです。
浴室はLIXILのハーフユニットバスを使っています。ハーフユニットバスは浴槽から下半分だけのユニットになっていて、浴槽、床、腰高までの壁が一体になっているものです。
浴槽より上の壁、天井の仕上げは自由に選ぶことができるというのがウリです。

この”諫早の家”では桧(ヒノキ)の無垢板を貼って仕上げています。
ちなみにこのLIXILのハーフユニットバスの開発にはこの”諫早の家”の設計をしていただいた伊礼智さんが携わり、2016年より販売開始されているものです。
「外に出かけたくなくなる家」
スタッフの金沢さんと津田さんにお尋ねしました。
「ひとことで言うとどんな家ですか?」
同じ答えが返ってきました。
「外に出かけたくなくなる家」
スタッフの津田さんはこう語ってくれます。
「夕方のやや暗がりになり始めた頃に、リビングの障子や建物から外にこぼれる灯りとともに見る外観が好きなんです」
リビングとダイニングにある大きな窓は、その名のとおり、ピクチャーウィンドウとなり窓から見える借景は、風景画のようです。窓の下の台は奥行きがあり、ちょっとしたカウンターのようです。
(設計:中川路)