- 「旗竿地という言葉を聞きました。詳しく知りたい」
- 「土地探ししていて、旗竿地を検討してます。メリット・デメリットを知りたい」
- 「旗竿地を買おうかどうか迷っています。買うべきでしょうか?」
この記事ではこのような疑問にお答えします。
今回は旗竿地を買うべきかどうか、旗竿地の特徴やメリット・デメリットについて解説します!
目次
旗竿地の読み方は「はたざおち」
「旗竿地(はたざおち)」。
土地探しをしている時に、おそらく一度は目にしたことがあるかと思います。
旗竿地とはその名の通り、上から見た場合に「旗」と「竿」のような形をした住宅のことを言います。
「旗」の部分が住宅が建つエリアに当たり、「竿」の部分がそこに行くまでの通路になります。住宅が比較的密集している市街地等で多く見られる形状の住宅です。
旗竿地が生まれる理由は?
そもそも、なぜ、旗竿地が生まれるのでしょうか?
旗竿地が生まれる上で重要なのは「間口」です。
建築基準法で決められているのですが、住宅を建築したいと思った時に、その土地が幅員4mの道路に接していることが求められます。
例えば、間口(土地が道路と接している長さ)が10mで奥行30mの縦長の敷地があったとします。
昔はこの10m*30m=300平米の土地で売買されていたエリアでしたが、今では地価も上がっていて、300平米そのままで購入できるような世帯はあまりいません。
そういうわけで、分割して土地を販売することになりました。
一番簡単な分割の仕方はスパッと横に切ることです。
間口10m*奥行15mで150平米の土地が2つできます。
ただ、問題があります。
奥側の土地は道路に接していないので、住宅を建築できないのです。俗にいう「建築不可物件」です。
そうすると、土地の販売ができない、ないしは半値でしか売れないわけで困ります。
では、どうするでしょうか?
間口を7.5mと2.5mに分けて道路に接するように計画します(接道をとる)。
すると、手前の土地も、奥の土地も住宅を建築できる土地になります。
どちらも販売可能になります。
きちんと満額で土地を販売できます。
そうすると、出来上がるのが「旗竿地」です。
旗竿地のメリットとは?
旗竿地にはメリットがあります。解説していきます。
土地の価格が安いことが多い
旗竿地のメリットの一つが「土地の価格が安いことが多い」です。
人気エリアの坪単価の高い土地であったとしても、形状が悪いので安い場合があります。駅から近いエリア、都心部にあるエリア、そういうエリアでも比較的安く土地を取得できる可能性があります。
静か
そのほかのメリットとしては「静か」という点です。
旗竿地はその性質上、接している道路から離れて建物が建つことになります。つまり、竿の部分だけ、道路から離れていることになります。
そのため、比較的静かな環境であることが多いです。
もし、国道などの道路に面している場合、車の往来の音が頻繁に聞こえることが多いもの。
しかし旗竿地では公道から奥まったところに住宅が建っているために、車の音などが聞こえにくく静かに暮らせる可能性が高まります。
外壁にお金をかけなくてもいいかも
また、旗竿地のメリットとしては「外壁にお金をかけなくていいかも」ということがあります。
これまでお話ししてきた通り、道路からは竿の部分だけ離れています。
つまり、わざわざ家の方に行かないと、家そのもの・建物本体を見ることはありません。そもそも、建物そのものを見る人が少ないのに加えて、旗竿地の形状的に住宅の入り口以外の左右の側面は家に囲まれているケースが多いです。
住宅密集地だからこそ、旗竿地なわけで、旗の部分の左右は家が建っているのがほとんど。そうなると、正面以外の外壁面はあまり見えません。
プラスに考えると、外壁にお金をかけなくても、大して見られるところでもないので問題ないのかな、と思います。
旗竿地のデメリットとは?
旗竿地にはデメリットもあります。解説していきます。
基本的には旗竿地の「竿」の部分が存在するために引き起こされるデメリットが多いですね。
出入りしにくい
旗竿地のデメリットの第一は「出入りがしにくい」ということです。
家が奥まったところにあるので、家に行くまでにその分歩かないといけないということがあります。
また、旗竿地の竿の部分は狭いことが多いので、自動車を駐めていた場合、自動車の脇を通ることになりますが、そこがまた狭いということが多いです。
まとめて言えば、出入りしにくいです。
車が駐車しにくい
出入りのしにくさと同じような意味合いでもあるのですが、旗竿地は車が駐車しにくいです。竿の部分はどうしても、旗竿地が生まれる理由からも明らかなように、狭いです。
建築基準法で定められた幅が接道要件から、2mになっています。実際、2mだと、かなり狭いので駐車が厳しいです。
そのため、2mを少し超えるくらいの幅であることが多いのですが、それでも車が駐車しにくいです。
当然、駐車は2台の場合は縦列駐車になります。
日当たりが悪い
旗竿地はその性質上、四方を家に囲まれている場合が多いです。住宅密集地ですので。
そのため、日当たりが悪い場合が多いです。
隣は建物で、迫ってきているわけですから、特に1階部分の日当たりは悪くなることが多いです。
風通しが悪い
先ほど述べたとおり、旗竿地の性質上、四方を家に囲まれていることが多いので、風通しが悪いことが多いです。
周りを家に囲まれていると、採光も悪いですし、また、風通しも悪いです。建物が迫って建っていますので。
防犯対策が高くつく
また、旗竿地は奥まって住宅が建っているので、空き巣狙いなどに侵入されるとわかりにくいです。そういうわけで、防犯対策をきちんとしていた方がいいです。
そのため、防犯対策が高くつくことになる可能性が高いです。
建築費用が高くつく
これはケースバイケースではあるのですが、旗竿地は建築費用も高くつくことが多いです。
竿の部分があるので、建築しているところに行くまでが大変というのが一点。
もう一点は、竿の部分が狭くて大型車が入らない場合、手運びなどの人件費が余計にかかる場合があります。
資材運搬や工事業者に負担がかかり、建築費用が余計に高くつく可能性があります。
インフラ(水道・電気)コストにお金がかかる
また、旗竿地はインフラ(水道・電気)コストが余計にお金がかかる場合が多いです。
旗竿地の性質上、竿の部分を通って上水道・下水道を通さないといけません。これを俗に「屋外給排水工事」と呼びます。
この屋外の上下水道の配管工事は距離が遠くなるほどコストがかかりますから、旗竿地の竿の部分だけ長いわけで、余計にお金がかかります。
電気の場合も、電柱から住宅まで、直接つなぐことができれば余計な費用はかかりませんが、迂回しないといけないとなると、余計に費用がかかります。
外構費用(フェンスなど)が高くつく
これもまた、竿の部分の話なのですが、旗竿地の竿の部分にはフェンスをしないといけない場合、フェンスは意外にかなり高額ですから、外構費用が高くつく可能性があります。
奥行き次第なので、なんとも言えませんが、竿の部分が長ければ長いほど、そこにフェンスをしないといけないとなると、お金がかかります。
四方が住宅に囲まれているので、四方をフェンスしないといけないケースだと、かなり高額になります。
売ろうと思ったときに売れないリスクがある
旗竿地の最後のデメリットは「売ろうと思ったときに売れないリスクがある」です。
正方形や長方形のような土地を「整形地」と呼びます。
旗竿地は一般的に「不整形地」と呼ばれます。
呼び名から、うっすらは伝わるように思うのですが、旗竿地のような不整形地は人気がないです。だからこそ、価格が安い場合が多いのです。
駅近や人気エリアであれば、多少デメリットがあっても、安ければ売れますし、人気なので、売れます。ただ、そうでないエリアで旗竿地であった場合、売れない場合があります。
値段を下げれば売れるということにはなると思うのですが、売ろうと思った時に想定した金額で売れるかというと、なかなか難しかったりします。
後悔する前に!旗竿地を検討するときのポイント
ここまで、旗竿地について色々と知識が得られたかと思うのですが、「じゃあ、土地探ししよう」という時に、実際に旗竿地を検討することになった場合、どういったことを検討しなければならないでしょうか?
具体的に解説していきます。
通路の幅が広いか、狭いか
これまでの話を総合すると、旗竿地で重要になるポイントは「竿」の部分であることがわかります。
「竿」の部分、つまりは「通路」になります。
この通路の幅が広いか、狭いかで、問題は大きく異なります。
通路(竿)の幅が狭い場合、駐車はしにくいですし、出入りしにくいですし、建築費用は高く
つくことになります。根本的な話で言えば、暮らしにくいです。
旗竿地を買って、そこの通路幅が狭ければ、所有している車がSUVとか輸入車であったら、車幅が広いことが多いので、最悪入れない、駐車できないといったことも起こり得ます。駐車はできても、その脇を人が通れないということも起こり得ます。
反対に通路の幅が広い場合、余裕を持って駐車できますし、出入りできますし、建築費用もそこまで高くならない可能性もあります。
そのため、旗竿地の場合は通路(竿)の幅が広いか、狭いかで問題の大きさが変わります。
設計を経験豊富な建築士が関わるかどうか
あとは設計を経験豊富な建築士が関わるかどうか、になります。
経験不足な建築士ですと、旗竿地の不利な条件や建築の際に何が起きるのか、実際に暮らし始めてどういう不都合が生じるかを予測できません。
そのため、せっかく建てたはいいものの、暮らしにくい家になってしまう可能性があります。
そういうことにならないためにも、住宅の設計は経験豊富な建築士の方に依頼されることをおすすめします。